色々な場面で、「食事形態」という単語を使いますが、病院・施設ごとに提供される食事形態は異なります。また、家庭であれば作る方によって、形態も異なります。
今日は、在宅場面で食事形態を共有するためのアイデアについてのお話です。
食事形態にはどんな種類がある?
主食
ご飯を基準にお話します。
[米飯]
米1に対して水1で炊飯したもの。普通のご飯ですね。
[軟飯]
米1に対して水2〜3程度で柔らかい。
[お粥]
米1に対して水5が全粥
[粥ミキサー]
粥をミキサーにかけて粒をなくしたもの。専用ゲル化剤を使用すると滑らかになる
※麺やパンは、説明が複雑になるので今回は割愛します。
副食
一般的なおかずについてです。食材によっても調理方法等が変わりますが、あくまで一般論での記述とします。
[普通食]
一般的に私たちが食べている食事です。多くの方がその形態を食べています。
[1口大刻み]
「噛みちぎる」が困難な方へ、普通食を1口サイズにカットしたもの。
[刻み食]
言わずもがな、刻んだ食事。刻むサイズはみじん切り。できればもう無くなって欲しいけど、なかなか調理の簡便さなどからもなくすことができない形態 (関連記事☆)
[ソフト食]
軟菜食とも言われる。ただ柔らかく炊いたものから、歯茎や舌で潰せて、潰した後もざらつき・粒感なく食べられるものまでバリエーションあり。食材によってはペースト後、ゲル化剤などを利用して再固形化や整形して出される。調理の手間がかかるため、提供できる環境は限られる。
[ミキサー食]
ペースト食とも言われる。ミキサーをかけた食事。咀嚼などは不要で、飲み込むだけの食事。
[裏ごしミキサー食]
普通のミキサー食にある粒・繊維でさえむせる方に対し、さらに裏ごしして滑らかにしたもの。
他にも食事形態は色々あるかと思いますが、一般的にはこの中のもので表現できるかと思います。
食事形態は曖昧表現
上記の食事形態をご覧になっていただいて、1つの名称の中にも形態に幅があるということにお気づきでしょうか?
例えば1口大刻み食。1口大って、何センチなんでしょう?これ、病院によって大きく異なって、A病院の1口大とB病院の刻み食が同じだった!なんてことがよくあります。そう、表現って曖昧なんですね。
ソフト食に至っては、いわゆる柔らかく炊いたものだけを提供する軟菜なのか、ムース食のようなミキサー+ゲル化剤を使ったものなのか、表現も違えば、調理方法や目的も大きく異なります。
さらにいうと、これも肉なのか魚なのか、根菜なのか葉野菜なのか、夏野菜なのか冬野菜なのか…などによって、素材の固さ、水分量も異なり、献立・調理方法によって変わるなど、本当に統一化を図るのは困難を極めます。
食事形態の伝言ゲーム
この食事形態の統一化の困難さは、病院や施設では結構深刻。
きっとこのブログをご覧いただいている方の中に、管理栄養士さんがいらした場合、よくわかると思うのですが、この食事形態の申し送りって、なんとも統一性がなく、毎回大変だと思います。
看護サマリーや栄養サマリーの通りに調理したけど、全然違う!!なんてこと多いですよね?
これは在宅でも同じで、私が指導の際にお伝えする食事形態と、ご家族が理解している食事形態が大きく違うこともしばしばなのです。
こういう点を見ても、食事形態に対して、調理する方が共通認識を持つ、ということは理想であっても、非常に難しいと言えます。
けれど、最大限共有するためにはどうしたらいいのでしょうか?
正確な答えはありませんが、私はこうしています、という例を明日の記事にしようと思います。
今日は長くなったのでこのあたりで・・・。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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