【びぃどろ講座】食事形態の伝言ゲーム②

昨日の記事「食事形態の伝言ゲーム①」では、食事形態がいかに伝達することが難しいかについてお話ししました。

今日は、「それなら、びぃどろの長岡さんはどうしているの?」という点についてお話ししていきます。

方法① 一緒に作る

私が訪問に入っているご家庭・施設のうち、可能であれば台所へ入らせていただきます。
施設の場合、衛生面の問題などから所定の検査 (検便など)をクリアしていないと調理室に入れない施設もあるため、そういったところに無理に入ることはしませんが、家庭や小さな施設さんの場合は、キッチンに入ります。

そこで「これはどうしたらいいですか」という栄養士さんや調理師さんの質問に答えるようにしています。もちろん、栄養士さんや調理師さんの方がプロですので、あくまで「どのくらいの固さにしてほしい」とか「これは食べられない食材です」などをお伝えするだけになりますが、それでも調理段階でお話できると、絶対的に食事形態を統一できますし、覚えていただくスピードも圧倒的に早いです。

ご家庭の場合も同様で、台所に入り、調理器具の確認をし、実際に調理をします。1時間の訪問中のほとんどを調理に費やしてしまうこともしばしば。訪問看護ステーション勤務の頃からそんな感じなので、嚥下食調理はだいぶ鍛えられたな、と思います(^^;;

方法② 写真で伝える

食事形態において、絶対に必要な視覚的な情報。こればかりは文字や言葉で伝えるには限界があります。そのため写真であれば、大きさなどはかなり明確に伝えることができます。

1口大の大きさや刻み方、食事量なども明確に具体的にお伝えすることができます。プリントアウトしてしまえば、関係するスタッフやご家族皆さんがいつでも気軽に確認できることもいいところ。

ですがやはりデメリットもあります。固さや粘度はわからないんですね。軟菜食の固さ、とろみの強さ、などは写真ではどうしてもわかりにくくなります。

方法③ 動画で伝える

動画での情報は本当にたくさんあります。
とろみ剤の量などで特に効果を発揮する動画。とろみをつけたお茶をスプーンですくって、どのくらいの粘稠度かがわかるように動画を撮影します。また、食事形態も、普通食と嚥下調整食の両方を写真に納め、ビフォーアフターを撮影し、比較できるような動画を作ります。

先日介入させていただいた高齢者向けデイサービスでは、特定のご利用者様に対しての食事介助マニュアルを作成することになりました。そこで作ったマニュアルが、5分程度の動画マニュアルでした。食事姿勢、介助方法、食事形態、注意点、むせた時の対応などを、音声・文字・イラストを動画内に混ぜ込んでマニュアルとしました(このマニュアルは、後日許可が出ましたら短縮版を編集し、びぃどろチャンネル ()へアップします)。

今までいくつも食事介助マニュアルを作ってきましたが、やはり動画が一番わかりやすいですし、確実だと感じています。

ただし、これにも問題点があります。
再生する機器が必要なため、高齢者世帯では難しい。また、病院や施設だと関わるスタッフさんも多く、保管場所を含めて動画マニュアルを気軽に共有することができない、といった問題があります。
しかしそのデメリットを踏まえても、確実性の高い伝達方法であることは間違いありません。
この方法がもっと浸透すれば、どこでも共有できるようになるのに、と思っています。

食事形態の伝言ゲームはやめたい

食事形態、やはり正確に共有したい。もちろん食事を食べる場所は家や病院、施設、学校などたくさんの場所があるため、どこでも同じように、は難しいです。しかし、A病院とB病院で全く違う!なんてことは少しでも減らしたいなぁと思います。

食事形態を言葉で表現することは難しい。だからこそ、こんな方法でお伝えしているよ、という私の活動が、皆さんの参考になればと思います。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。