【びぃどろ講座】頭が良い人は脳のシワが多い?

私たちの頭の中にあるもの、大切な“脳”がありますね。この脳、昔から「シワが多い人は頭が良い」なんて言いませんでしたか?今日は、ちょっと大脳の世界を見てみましょう。

脳の形

皆さんも、脳の絵を見たことがあると思います。シワがたくさんあって、不思議な形をしていますね。実はこの大脳にあるシワ、それぞれに名前があるってご存知ですか?

そしてさらに言うと、そのシワに沿って左右それぞれ4箇所に大きく区分することができるんです。前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4箇所です。そしてその大脳の下に位置するのが「小脳」、この大脳と小脳を支えるのが「脳幹」となっています。

今日はこの脳の部分が、一体どんな役割を持っているのかをみてみましょう。

大脳って何?

そもそも大脳ってなんでしょう?大脳は3層構造のようになっていて、表面と内部、そして中心部です。それぞれの役割が異なります。

一般的に「脳」とイメージされるのは表面部分のことを言い、この表面は上図の4箇所に区分けされます。ここが知能や精神活動などを司っているんですね。つまり、人間の知能の全てがこの表面に集約しています。

では内部には何があるのかと言うと、この大脳の表面とかく体をつなぐ“神経”の束があります。そして、大脳の中心部には人間というより動物・生命体にとって必要な役割が与え得られています。具体的にいうと「記憶」「情動」「欲求」ですね。それ以外にもいろいろな役割がありますが、基本的には身体の“芯”の役割をしています。

これらを全て解説するのは難しいので、今日はこの大脳の“表面”の4箇所について、より掘り下げてみましょう。

前頭葉

前頭葉にはまず「運動」を司る部位があります。脳梗塞などで身体に麻痺が生じた場合、この前頭葉を損傷していることになります。

さらにこの前頭葉は、感情や性格・理性の場所でもあるため、ここの部位に損傷があると、判断して行動するや、感情に基づいて行動する、ということが難しくなります。

それともうひとつ、大切なのが「言語」です。ここは「言葉を作ってアウトプット」するための場所であり、ここに損傷があると、「話す・書く」などのアウトプットに障害が生まれます。

頭頂葉

ここも重要な部位です。身体のバランスだったり、温痛覚などを感じ取ったり、五感を感じ取ったり、複雑な動作や計算などをするための部位です。空間や時間などを感じとる・理解するのもこの部分です。人間ならではの部分に関わっていますね。

ここが損傷されると高次脳機能障害と言って、非常に複雑な症状が認められるようになります(高次脳機能障害はここだけではありませんが、まずはここがいちばん多いので…)

側頭葉

そして脳の両脇にある側頭葉。ここで最も重要とされるのが、左の側頭葉にある「言語中枢」です。先ほど前頭葉でも言語の話に触れましたが、実は言語中枢はここにもあります。これは前頭葉とは逆に「言語のインプット」を司っています。

インプットと言っても、耳が聞こえない、というのとは違います。聞こえるけれども理解できない、という問題です。言語の「聞く・読む」の部位に障害が強くみられようになります。

それ以外にも、記憶や情動、聴覚・味覚なども大きく関わっています。

後頭葉

そして最後は後頭葉。いちばん後ろに位置しています。ここは“視覚”に大きくかかわっています。視覚情報をキャッチして、認識する。この部分に大きな影響があります。損傷を受けた部位によって、視野が狭まったり、人の顔を認識できなくなったり・文字の認識ができなくなるなど、複雑な症状がみられるようになります。

大脳のシワ

こうしてご覧いただけるとわかると思うのですが、脳にシワがあれば頭が良いのではないと言えます。ちなみに脳の大きさも、関係ないと言われています。例えばノーベル文学賞を受賞したフランスの文豪「アナトール・フランス」の脳は、平均よりずっと小さかったと言われています。つまりは脳と脳をつなぐ様々な神経などが複雑に影響しあい、知能やIQなどのいわゆる「頭の良し悪し」にかかわってくるんですね。

大脳の世界

目にすることのあまりない大脳の世界。少しお分かりいただけたでしょうか?もちろん脳はここに書いたこと以上にたくさんのことができますし。もっと複雑です。解明されていない部分も非常にたくさんあります。

脳卒中などにより脳に損傷を受けると、様々な症状に見舞われます。その理解の一助になればと思います。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。