【びぃどろ講座】何コレ!?生まれた日に飲む薬


赤ちゃんが生まれてすぐ、数回授乳をした後、ビタミンK2のシロップ薬を飲ませます。今日はこのビタミンK2についてのお話。

生まれたての赤ちゃんに薬!?

赤ちゃんが生まれると、すぐにビタミンK2シロップを飲ませます。そして産院を退院するとき、1ヶ月健診のときと、合計3回のシロップを病院で飲ませます。

さらに母乳で育っている赤ちゃんに関しては、1ヶ月健診の際に、同じものをお医者さんから渡されて、生後3ヶ月まで毎週飲ませるよう指導されることが多くなりました。

ビタミンK2って何?

それにしてもこのビタミンK2ってなんなんでしょうか?

ビタミンという言葉は有名ですね。このビタミンとは、微量でタンパク質や糖質、脂質などの代謝調節に関与する必須栄養素です。これは、体内でほとんど合成されないため、食品から摂取する必要があります。

ビタミンの種類は多く、水溶性ビタミン9種類と脂溶性ビタミン4種類があります。

そして、その中でも数種類あるビタミンKのうち、栄養学的に重要とされるのが、今回のテーマのビタミンK2です。このビタミンK2の主な作用。それは血液の凝固に関わるものです。

どうして飲ませるの?

新生児は、お腹の中がまだ未熟であり、このビタミンK2を充分作ることができません。さらに母乳がうまく飲めない赤ちゃんは、身体に取り込むこともできません。そもそも母乳には、このビタミンK2の含有量も少ないので、すぐに不足してしまうのです。

これが不足するとどうなるのか?これを飲ませる理由は、新生児期から乳幼児期による重篤な病気を防ぐためなのです。

重篤な病気って?

ビタミン K2 は血液が固まる時に必要なビタミンです。ですから、これが不足してしまうと、出血の症状が出てきます。
特に新生児期に起こす出血症は、「新生児メレナ」と呼ばれる消化管出血が多いとされています。この出血は血を吐いたり、うんちから血が出てくるという形で発見されます。

とても危険な病気ですが、生まれてすぐにビ タミンK2を飲むことによって予防することができるとされています。だからすぐに飲むんですね。

しかしその後、生後 3 週間から 2 ヶ月の乳児期早期になると、また違う出血症が見られるようになります。これの多くは「 頭蓋内出血」つまり脳内での出血として発症します。非常に重篤な病気であることから、約半数が亡くなったり、後遺症が残ってしまうことも多いなど、予後が良いとは言えない病気なのです。

何回飲むの?

そういったことから、この病気を防ぐため、生後3ヶ月まで毎週ビタミンK2を摂取させようと言われるようになりました。合計13回ですね。

これはあくまで「推奨」という形ですので、地域や小児科などにより、まだばらつきはありますが、徐々に広がりつつあります。

赤ちゃんが飲んでくれない!

とはいえ、母乳の赤ちゃんへの処方ですから、哺乳瓶を使っていないことも多く、なかなかうまく飲ませられない・うまく飲めない、という問題が起きてしまうことも事実です。

哺乳瓶を持っている方は乳首部分をくわえさせて、そこからシロップを入れたり、スプーンやスポイトなどを使って飲ませましょう。

インターネットで検索してみると

「吐いた」「こぼした」「副作用」「忘れた」などへの記事の多いこと…。

育児ってホント、心配なことだらけ。「母乳やミルク以外のもの、飲ませていいのかな?」「うまく飲ませられない」など、どんなことでも心配になりますね。
わたしも本当にそうでした。スマホがあるとなんでも調べてしまう。そのせいで情報が多くなってしまい、逆に不安になってしまう。

情報を得られることは強みですが、逆に不安になっては意味がありません。きちんと病院に確認し、先生とお話ししながら育児を楽しみましょうね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。