育児をしていると、ちょっと洗濯物を干している時、ちょっと食器を洗っている時など、「ちょっと手を離せない時」に限って、子供が「ママ〜」と呼びかけてくることないですか?
そんなとき言ってしまう言葉
「ちょっと待ってね」
さて、この「ちょっと」ってどれくらい?今日はそのお話。
ちょっとまってね
子供ってなんで忙しいときに限って声かけてくるんでしょうか?あとこれだけなのにまた中断!なんてことしばしば。日々、家事や育児に追われていると、この「ママ〜」の呼びかけに「あぁ!待ってくれ!」と思ってしまいますね。
でも、だいたいコレを言ったところで効果はなく、直後から「ねぇママ〜」と繰り返し呼びつけられ「だから、ちょっと待ってってば!」と声を上げてしまう。・・・そんなことないですか?私はあります(笑)
なんでこんなことになるんでしょうか?
「ちょっと」って何?
そもそも「ちょっと」ってどれくらいの時間を言うのでしょうか?3分でしょうか?
例えばカップ麺だったら、お湯入れてチョット待ってといえばみんな同じように作れるんでしょうか?なんとなくそうならない気がします。カップ麺に熱湯注いで「ちょっと待ったら」出来ますよ。うーん、少し心配になりますね。
でも、本を読んでいて残り3ページのところで声をかけられたら「ちょっと待って」って言いますが、3ページ読むのにかかる時間って、人それぞれ。
そう、この「ちょっと」ってとても抽象的。そして状況によって大きく変わってしまうんですね。
こういった抽象的な言葉って、いつ頃子供たちは学習するんでしょうか?
時間に関する言葉の理解
「ちょっと」って時間に関する言葉、と言えますよね。ではこの「時間」って、どうやって覚えるのでしょうか?
個人差はありますが、子供は一般的に1歳位になると「ママ」「わんわん」などの単語を話すようになります。ここで言えるようになる言葉は、非常に身近であることと、口の発達上言いやすい音で作られた言葉となります。
その後、徐々に言える言葉が増えて2歳頃に「わんわん、いたー」「まま、だっこ」などの短い文を話すようになります。このあたりは名詞や動詞など身近でイメージしやすい言葉が中心となります。
3歳に向かってどんどん言える動詞が増えて、助詞が言えるようになってきます。「美味しい」や「うれしい」などの身近な形容詞もどんどん数が増えていきます。
そしてこの頃から経験したことを話すなど、話題が広がりを見せます。
4歳頃から抽象性の高い「色」への理解も進みます。色は非常に難しく、例えば「赤」と「ピンク」の境目って人によって違いますよね?それくらい抽象的なものなんですね。
そしてこの頃「曜日」というものの存在を理解し始めます。ようやく「時間」に関することがわかってくるのです。
5歳位になると数字の理解も進み、それに併せて時計への関心が高まります。6歳にはこうして曜日や時間というものが、だいたい分かるようになります。
さて、ここでようやく時間についての理解が落ち着いてくる、ということです。
「ちょっと」って何分?
小学校入学前後くらいに時間についての感覚がしっかりとしてくるならば「ちょっと」という時間はどうなんだろう?
「待つ」ということはわかる。けれど「ちょっと」というものはどれくらいかしら?ましてやカップ麺のチョットと、食器洗いのチョットは時間が違う気がする。状況や時間帯によってこの「ちょっと」って、変わりすぎてしまう。
結局言えることは、経験値の少ない子供からしたら「ちょっと」がわからない、ということ。だって、どういう状況なら「ちょっと」が3分になり、「ちょっと」が1時間になるのか、なんてイメージが沸かないですよね。
じゃあどうしたらいい?
6歳位になり時間の概念がわかるようになったお子さんには、「◯分待ってね」と言う。これにつきます。そして、それもわからない幼い子供さんの場合は、「この洗濯物をたたむまで待ってね」など、具体的にいいましょう。それでも通じないときは、「今忙しいから、終わったら声かけるね」でもいいまもしれませんね。
しかしそれでも対応できないとき。それは、諦めてお話を聞くしかないかもしれません。
人とのやりとりは、どれだけ頑張ってもスムーズに行かないことが山のようにあります。それは仕方がないので、聞けるときは聞く、聞けないときは聞けない。ソレしかない部分もあります、
けれど、時間をイメージしやすいかたちで答えてみる。これをするだけで、これまでの「ちょっとまってね」が通用する可能性が上がるのだとしたら、試してみる価値はあるかもしれませんね。
子供への声掛けは具体的に。ちょっと意識してみてくださいね♪
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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