小さい頃からよく、食事中に「三角食べしなさい!」って言われませんでした?今日は、そのお話。
通所での出来事
先日通所での食事指導に伺いました。その際に1人の利用者さん(Aさん)がむせています。Aさんは食事はとってもお上手で、むせることもあまりないのですが、時々ご飯粒などでむせてしまうんですね。
私が訪問した際に、時々むせるので、様子を見ながら繰り返し指導して、あれこれ工夫をしている方です。
ちなみに、この通所は事情があって、現在の食事形態から変更することが難しい状態です。
ご飯は普通ご飯。おかずも普通。汁物は時々むせるのでとろみを付けてもらっています。
さぁ…どうしよう?
しっかり観察しよう
さて、こう言ったときに周囲がしなければならないことは、しっかり観察をすることです。当たり前のようですが、実は意外と難しい。何を見たらいいのかって?それは…
「むせた条件と、むせなかった条件」を見るんです。
間違い探し
Aさんは、食事姿勢が難しく、自力摂取もできる方なので、食器の配置等も重要になります。自力摂取しやすくて、飲み込みしやすくて、安全で・・・うぅ〜ん。結構苦戦。
そして、食欲もあり、好き嫌いせずなんでも召し上がります。これもいいことですね。
食事ペースについては、周囲の職員の声かけなどでコントロールできるため、早食いになることもありません。
1口の量も同様で、職員の配慮があるので多くなりすぎないようにコントロールできています。
こういう基本的な部分を確認した上で、それでもむせる。もちろんむせてもいいのですが、全くむせない日もあるので、その辛さを少し解消してあげたいと思うと、なんとか打開策を探そうとしてしまうのが職業病。
何が違うんだろう?むせる時とむせない時?これはまるで。、間違い探しだ
答え合わせ
そんなわけで間違い探しの結果、私が導き出した答えはこれ
三角食べをやめよう
え?なんで?と思いますよね。実はAさんは、むせるタイミングに大体パターンがあることが見て取れました。
それは、「食べるおかずを変えたとき」
嚥下障害の方によくあることなんですが、水分単体ではむせない。ご飯だけでもむせない。でもご飯をお茶と一緒に飲もうとするとむせる、ということ。これは複数の形態の食事が同時に口の中に入った時に、お口が「どっちに合わせて飲んだらいいの?」と混乱して、うまく食べられなくなり、むせてしまうんですね。
Aさんも同様で、ご飯の後、おかずを食べようとしてむせる。おかずの後味噌汁を飲もうとしてむせる、を繰り返していました。
そのため「三角食べ中止」を提案することにしました。
結果どうなった?
Aさんのむせの回数は大幅に減少。おぉ〜。もちろん全くむせなくなったというわけではありませんが、悪い傾向ではありません。しばらくはこれで様子を見ることになりました。
とはいえ、いろんな味を三角に食べることも大切です。ですから、全く三角食べをしないのではなく、数口食べて、お口が空っぽになりクリアできたら、次のおかずへ交換など、少し工夫をするに留めています。
食べる楽しみを維持しつつ、むせる苦しさは軽減する。
そんな働きかけって大切だなと思っています。
通所指導でも、こんな風にして職員さんの介助が安全・安心してできるような工夫をしていきたいなと思います。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
最近のコメント