【オンライン相談室ぽっぺん】Kくん(3歳) [相談:嚥下に行き詰まっています]

先日の新規ご利用者さんのKくん。偶然、お母さんとのご縁が繋がり、「オンライン相談室ぽっぺん」のご利用となりました。ご両親から、情報の開示をご理解いただきましたので、ご紹介です。

Kくん

病名などは記載しませんが、3歳になるKくん。人工呼吸器をつけ、鼻から管を入れて栄養をとっています。お座りも上手な笑顔の可愛い男の子でした。

なんでも食事や言葉の発達支援を受ける場所や機会がなかなかなく、困っているとのこと。特に嚥下については誤嚥も確認され、「このままでいいのか…」と行き詰まりを感じていらしたとのことでした。

素敵なパパ&ママ

偶然、ママと繋がる機会があり、ご連絡をいただきました。その際にKくんのお食事の様子を動画で見させていただき、「あぁ、きっともっと食べられる」そう感じたのが、私の第一印象。

何より、パパさんが積極的にご飯を食べさせている。これ大事!

男女平等ですし、育メンも増えていますが、実際はママが主導となる家庭が多いのも事実。Kくんのように医療的ケア児を抱えると、夫婦のコンビネーションが重要になります。

うん、このご両親なら、頑張れるはず!そう思えるご夫婦でした。

パパとママの真ん中でニッコニコのKくん♪

初めまして

そんなわけで、お会いしたことのないKくん家族との初対面。もちろん「オンライン」での初対面となりました。

パパもお仕事を調整してくださり、ご家族みんなで画面越しにご挨拶することができました♪

何をしたの?

今回のセッションでは、事前に見せていただいた動画から、「Kくんはきっとこれが食べられるはず!」と思う食べ物があり、私がそれを前もって探していました。私が住んでいるのは山口県。Kくんとは数百kmも離れていますから、全国どこにでも売っていそうなものをいくつか試食し、「○○メーカーが出してる、△△というプリンを買っておいてください」とメールでお伝えしていました。

オンラインが始まり、ご挨拶を済ませた後、食器や姿勢の確認を済ませ、いざ実食♪

大変上手に食べることができました♪よかった^_^

食事姿勢について、食具について、栄養について、過ごし方についてなどなど、お伝えすることは盛りだくさん。言語や座位や寝返りなどの全身状態も見たかったけど、流石に時間オーバーとなったので、全身発達については今回は諦めて、食事のみに焦点をあてた指導までにさせていただきました。

小児嚥下領域の専門家

言語聴覚士として働いていると、色々な専門家がいらっしゃいますが、「小児の摂食・嚥下領域」を専門としている方は少ないな、という風に感じています。
確かに難しいですし、ハイリスクなので倦厭されがちなのも理解できます。

実際、Kくんのお母さんも、「いろんな人がアドバイスはしてくれるけれど、1歩踏み込んだ話ができないことが多い」とおっしゃっていました。確かにそうですね。

けれどお子さんのお口の発達は見る時期を誤ると、それこそ適切な発達時期を過ぎてしまい、正しい能力を獲得できずに成長することになってしまいます。特に幼児期。もっというなら、哺乳などの乳児期にアプローチできれば一番いい。
Kくんもまさにそうで、これまで食べていた食事内容はやや不適切だったんですね。誤嚥し続けていたわけですから。能力を正しく評価して、もう1歩踏み込んだ食事内容に変更することで、グッとお口の発達を引き出せる、そんな状態でした。
だからこそ今回、偶然が重なりご縁が繋がって、オンライン指導ができて本当によかった!

オンライン指導でもできること

お口の発達支援ができる専門家は少ないかもしれません。けど、それを求めている人がいらっしゃるのも事実です。私の知識や経験が、こんな本州の端っこからでも必要としている人の場所に届けば、そんな嬉しいことはないですね。

今回のKくんも、数百kmも離れているけれど、そんなことを感じさせることのない関わりができたかな?と思っています。その後も何度かお母さんとやりとりしていますが、わからないことは質問していただけるので、私もKくんの支援状況がわかり、安心できます。

どんな地域にもいける。これまで何件か遠方の方からのご依頼をいただいていますが、本当にもっともっとオンラインが普及したらいいな、って思っています。

皆さんの生活に息吹を吹込みにまいります

ぽっぺん

キレイな音が鳴りますように♪

Kくん、そしてご両親、ありがとうございました。今後もよろしくお願いします^_^

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。