我が家は農家です。典型的な、田舎の本家の農家です。私の子どもたちは、生まれた頃から祖父母との交流の中で、畑で遊ぶ感覚を身につけています。今日はそのお話。
畑が庭です
我が家は、家の敷地内に大きなビニールハウス数棟と畑があり、少し離れたところにはさらに大きな畑や田んぼもあるなど、典型的な農家です。と言っても、私たち夫婦は言語聴覚士ですから、畑仕事を手伝えるような時間もなく、両親がするばかりではありますが、「畑が身近にある」と言う生活を送っています。
私自身は関東出身で、全く農業とは縁もゆかりもない家庭出身ですから、「米っていつできる?」って言うことも曖昧になるほどの無知でした。お恥ずかしい(・_・;
そんなわけで嫁いで10年以上になりますが、なんとなく農家嫁をやっております。
子どもたちも生まれた時から畑が庭でしたから、土遊びをビニールハウスの中でやったり、季節に応じた野菜を採りに行くことも当たり前です。
「はい、トマトもいで来て」
「水菜抜いてきて」
「大葉が欲しいから3枚摘んで来て」
なんて会話が日常茶飯事です^_^;
さて、うちの子どもたちがまだ幼児だったある日のこと、友人家族数名と我が家の庭(と言うか畑?)で遊んでいました。そこで、義母が私の友人に「人参抜いて、持って帰っていいよ」と言ってくれました。そこで、遊びに来ていた子どもたちに「人参抜いていいよ〜」と促したところ…あれれ?なんだか身体の使い方がおかしいぞ?と思ったのです。
どうやって抜くの?
そもそも、土から生えている野菜を抜くと言うこと自体、身近じゃないお子さんが多いと思います。その時は人参。当然ながら葉付きの人参です。スーパーの人参は、葉が切り落とされていますから、葉付き人参自体触ったことのないお子さんもいらっしゃるんじゃないでしょうか?抜くと言うことは、土の下の人参は見えません。葉しか見えていない状態です。さぁ、そう言う人参を前にして、子どもたちはどうしたでしょうか?
人参の抜き方
友人の子どもたちは、人参を抜くこと自体が初めて!そして、人参の葉っぱをこう掴んだのです!
ほほぅ、なるほど!
初めての人参。シュッと抜けるものだと思ったんでしょう。もちろんビクともしません。そこで私が、「手はこうするんだよ」と教えてあげました。
しかしうまく抜けない。そう、手だけで抜こうとしてるからですね。
そこで私は更に、「立ってごらん。葉っぱの根元を掴んで抜くよ」と言って、手を添えてあげました。すると今度は脚のちからはもちろん、全身を使って抜くことができました。よかった♪
身体の使い方
ちなみにこの人参ですが、うちの子達はいつものことなので、勝手に抜いてしまいます(笑)ある程度大きくなると、「抜いていい大きさの人参」が判別できるようになるので、それをきちんとチョイスできます(笑)農家育ち、すごいな(笑)
とはいえ、うちの子どもは運動神経が良いわけではありません。普通です。人並み。ですが、「人参を抜くときの身体の使い方」と言うものは経験しているから、自然とできるのですね。
何事もそうですが、やはり経験がものを言うわけです。
手首をどんな角度で使えば、どんな方向に力が入れられるのかな?
膝を曲げたほうがいいかな?伸ばしたほうがいいかな?
力をかける方向は上かな?横かな?斜めかな?
こうやって様々な動作を経験することで、身体の使い方を学習します。そして初めての動作に対しても、過去に経験した動きなどと照らし合わせて、より適切な動き方を自ら取れるようになるのです。複数経験する中で自然と身につくものなんでしょうね。
ボディイメージがあるかないか
このように、自分の体が、空間的にどこにあって、どのような状態で、どう動かしたらどうなるか…などと言うことをイメージできる力を「ボディイメージ」と言います。これは発達の中で自然と育まれていくものであり、その学習速度は人により異なります。
ちなみに私は、このボディイメージが非常に悪く、「ジャングルジムをくぐれない」「飛び石に飛び移れない」と言った状態がいまだにあります(笑)かと言っても極度の運動音痴というわけではなく、剣道二段で大会でもそこそこの成績を修めたりしていましたし、中学のマラソン大会で2位をとったこともあります。大学では下手ながらダンスもしていました。
発達に難しさを抱えるお子さんに限らず、このボディイメージをすぐに獲得できる人もいれば、私のように大人になってもできない人など、様々な人がいます。けれどまずは、経験をしなければ獲得はできません。
最近は「危ないから」という理由で、いろんな遊具が禁止されています。遊具で遊べなくても登ったり、しゃがんだり、跳ねたりしながら、大人も子どもも自分の体の使い方、見直せるといいですね。
と、偉そうに言った私ですが、正直育児をして思いました。
「外遊び、怖い!ジャングルジム登れない!子ども以前に、私ができない!」
親の修行はまだまだ続きます・・・
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
最近のコメント