【びぃどろ講座】食べるを学ぼう②準備期

今日は「たべるを学ぼう」のシリーズ2回目。「準備期」です。

なんの準備するの?

さて、今回は「準備期」。この「準備」、一体何を準備するんでしょうか?

それは・・・

ゴックンの準備です

食べ物をゴックンするためには、どんなに固いものでも「ゴックンできる形」に変えないといけません。つまりは、この準備期は「食べ物をゴックンできる形にする時期」と言うわけです。

ゴックンできるためには

さて、この時期はゴックンできる形にする時期と言いました。どういうことでしょうか?

例えばお煎餅。
そのままゴックンすることはできません。できるかもしれませんが危ないですね。そうなるとモグモグします。モグモグ、つまり「咀嚼」ですね。この咀嚼が正しくできることが、この準備期の重要な要点と言えます。

モグモグは大きくわけて2種類

咀嚼には2種類あります。一つ目は「ガリガリ」とか「バリバリ」とする時期。目的は噛み砕くこと。そのためには顎が大きく上下に動きます。

次にある程度大きさが小さくなったら、今度は「モグモグ」とか「くちゃくちゃ」という時期がきます。ここの目的は唾液とすり混ぜることです。そのために顎がぐるぐると回旋運動をしたり、ねじれるような唇の動きが見られます。この時期は盛んに舌が動き、食べ物を唾液と混ぜることを補助します。

こうして唾液と混ざった食べ物を「食塊(しょっかい)」と言います。

準備期は食塊を作る時期

この時期の最も重要な目的は、この「食塊」を作ることにあります。食塊を作ることで、その次に来る「飲み込み」の準備をするのです。

そして、咀嚼というとなんとなく顎や歯が重要なイメージかもしれませんが、実は少し違います。歯の上で食べ物をすり潰すためには、舌や頬の力で食べ物を巧みに操る必要があります。特に舌ですね。ですから舌の筋肉に麻痺があったり、運動の苦手さが生じると、途端に咀嚼ができなくなります。

ちょっと動画で見てみよう

そんなわけで動画作っています。1分程度の動画にまとめてみましたがいかがでしょう?

咀嚼できないとどうなる?

硬いものを咀嚼せずに食べると、固いまま丸飲みすることとなり、喉の壁に傷をつけることがあります。たまに魚の骨が喉に刺さった!というのもそうですね。十分咀嚼して、咀嚼できないことがわかれば事前に取り出せる骨も、咀嚼が十分にできないとそのまま飲み込んでしまい、その棘で喉を傷つけることがあります。

また、例え柔らかくても、こんにゃくのようなものを咀嚼しないで飲み込もうとすれば、窒息する可能性も出てきます。

そう考えると、この時期ってとっても重要ですね。

ここに障害があるときは?

この時期に障害がある場合は「食塊を作ることができない」ということです。
ですからお料理の段階か、食事介助の段階で「食塊」を作るサポートをしてあげましょう。

【お料理の段階】
・柔らかく炊く
・刻む・すりつぶつ
・水分・油分を混ぜる

【食事介助の段階】
・刻む・すりつぶす
・水分・油分を混ぜる

このように食事を作る、または食べる直前に、食塊を作ることができると、準備期に障害がある方へのサポートをすることができます。

さて、ようやく飲み込む直前まできました。

次回第3回、口腔期です。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。