今日の昼、戸別訪問の利用者さんから電話がありました。先週訪問したばかりの利用者さんで、電話をかけてくるなんて珍しい・・・と言う方でした。私は別件で仕事中だったため、すこししてから折り返し電話をかけました。
電話に出たご家族から、「ちょっと相談なんだけど・・・」
と何やら深刻な声
お話を伺うと、来週利用者さんが歯科治療のため、日帰り入院をするとのこと。その入院自体は前回の訪問で伺っていたので私も把握していました。しかし、相談はここから。
その時に、病院から飲み物を持ってくるように言われたんだけど、何をもっていけばいいですか?という問い合わせでした。
ちなみにこの対象者の方は、若干の嚥下能力の低下があるので、ときどきむせることはありますが、必ずとろみ剤が要るようなレベルではない。つまり多少とろみ剤があれば安心だけど、たとえ無くても少しずつ、飲ませ方を注意すれば、誤嚥のリスクはとても低いレベルの方でした。
そのため、敢えて飲み物の種類について電話で相談された理由が私にはわからず、頭に「???」が浮かんでしまったのです。
ご家族からさらに詳しく話を伺うと、普段から白湯か牛乳しか飲ませていないため困っているとのこと。
ますます頭に「???」が浮かびます。
だって、白湯も牛乳も、少量パックとか売っていますよね。スーパーでもコンビニでもどこにでもあります。そのご家族は運転できますので、買い物に困る様子もありません。どこにでも売っているものなのに?自力で買いに行けるのに?などと考えると、ますます私は困る理由がわからなくなってしまいました。
そこでようやくご家族からこんなお話しを聞くことができました。
白湯より牛乳を飲ませたいんだけど、朝、受診に連れて行って、帰る前に飲むんだから午後でしょう?
本人にはいつも、常温のものを飲ませてるので、慣れた常温のものを飲ませたいから冷蔵庫に入れたくないし。かといって、この暑い中そんなの持って出歩いたら傷んでしまいそうで・・・この暑い中どうしたらいいかしら?とのこと。
ここまで聞いて「なるほど」と気が付きました
「常温の牛乳を持っていきたい」
「腐るのが怖い」
ここが本心だったのか、と。
冷蔵の牛乳だって
少しくらい常温で置いても大丈夫じゃないですか?
・・・とは思うものの
それが心配なら解決してあげなくてはいけません
「大丈夫」と思う基準は
その方によって違います
たとえ「腐りませんよ」と言ったところで
安心にはつながらないし
それでは私に相談した意味もありません
価値観の押し付け合いです
常温保存可能な200mlの牛乳・・・ありますよ
ちょうど、うちの近所のスーパーに売っていますよ
たまたま以前買ったことのある商品だったので
そのように説明しました
「買っていきましょうか?」と尋ねると
それはダメ。長岡さんに悪いわ、と言われます。
とても気づかい上手なご家族なんです。
そんな気づかい上手なご家族が
相談相手にわたしを選んでくれたなら
その価値観に合った食べ物探しを
一緒にしたい
一度電話を切って
近所のスーパーへ
常温保存可能な200mlの牛乳の
おいてある棚を確認♪
早速折り返し電話をし
商品の位置をお伝えして
この「何を飲ませたらいいですか?」の
相談が終わりました
たまたま買ったことのある商品を覚えていて
良かったー♪
食への価値観は
本当に人によって・家庭によって
さまざまです
それらの価値観に合った
食環境の調整をしたい
そのためにも
いろんなものにアンテナを張っておきたい
そう思えた相談でした
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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