3月から始まった全国一斉休校。その後も4月から学校の再開は難しく、全国的に5月までは休校が続いています。
さてこんな中、全国の学校はどうなっているんでしょうか?
普通校の授業
多くの学校が、授業を始めることができず、プリントなどの宿題を渡すのみで、家庭学習に委ねられているのが現状です。
そんな中、一部の学校ではオンライン授業が開始されています。
熊本市が小中学校でオンライン授業 5月6日まで休校、入学式は延期
西日本新聞(2020/4/4付) https://www.nishinippon.co.jp/item/n/597798/
これらのことを他地域のご家族は、羨ましいなぁと思われると思いますが、なかなか全国に広まる様子は有りません。どうしてでしょうか?
まずは、全児童に届けるためのWi-Fiなどの通信設備の問題、スマホなどの端末の配布等が挙げられます。
更に、質疑応答を行うためには双方向の配信が必要となるため、配信中に児童の顔と名前があがることになります。これが個人情報保護の観点から、難しいのです。そのため、なかなか着手できない部分があるんですね。
家庭の工夫
学校からのプリントや宿題だけでは不安なご家庭などは、ご両親が勉強時間を作ったり、オンライン塾などを活用したりして、家庭学習を進めていることと思います。最近ではYouTubeでもたくさんの学習チャンネルがあり、イロイロなことを学べるため、家庭学習のためのオンライン教材は学校ではなくてもか通用できるものが多いのかもしれません。
しかし、あれ?そういえば支援学校の生徒たちはどうなんだろう?
支援学校に手が届くか
私が介入しているお子さんの多くが、支援学校に通っています。支援学校の場合、オンライン授業と言ってもイロイロな障壁があります。
まず、発達障害児の多くが、五感の感覚の感度にばらつきがあるんです。オンライン授業では、視覚と聴覚に偏りますし、視覚も3次元ではなく2次元ですから、理解をするための情報が非常に少ない。
そんなことからもオンライン授業がたとえできたとしても、届かない恐れがあります。
また、肢体不自由児の場合はどうでしょう?感覚入力であったり、ポジショニング、運動バランスやストレッチなどをおこなうことが多いお子さんの場合、オンラインではとても対応できません。そう考えると、支援学校にとって現在の休校への対応はイロイロなことに限界が有るのですね。
また、昔の盲学校の場合はどうでしょうか?全盲の場合など、点字の学習はオンラインではとてもできません。
そう、普通校でえさえなかなか進まないオンライン授業。支援学校となると、ほぼ無理となってしまうんですね。
学校ってなんだろう?
このところずっと考えています。学校ってなんだろう?って。正解はないのでしょうが、子供に平等に教育を届けることが学校の役目だとおもっています。
子供全員に、限られた人数の大人(教員)が教育を届けるためには、「学校」という箱に集め、そこで学びを与える。これが今まで行われてきたものです。
しかしこの新型コロナウイルスにより、世界が大きく変わりました。集めることができないんです。
しかし集めなくても子供に教育を届ける義務は、全ての大人たちにあるのです。
障害があってもなくても。もちろん自分の子供達にも、友人の子供達にも。誰にも平等に教育の機会を届けたい。
びぃどろの仕事にひとつ、あたらしいことを吹き込まなければならない時期なのかな?そんなふうにも思うのです。
前の生活に戻ることより、新しい取り組みを始めること。今の私に求められているのはそれかもしれません。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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