中耳炎、って病気。聞いたことある方が多いと思います。でも中耳炎ってなんだろう?今日は中耳炎についてのお話。
中耳ってどこ?
以前、耳の仕組みについての動画をアップしました。
ここでわかるように、「中耳」とは鼓膜の向こう側の小さな部屋のことを言います。ここで起こる「炎症」が「中耳炎」の正体です。
なんで炎症が起きるの?
鼓膜の向こうの部屋に、なぜ炎症が起きるのでしょうか?
中耳の中には下に伸びる1本の管があります。これは「耳管(じかん)」といって、鼻の奥に繋がっているんです。
ですから、風邪などを引くことにより、鼻の奥から細菌がこの管を通って、耳の中に侵入し、炎症を起こす。これが中耳炎の正体です。
中耳炎の種類
中耳炎は主に4つの種類に分けられます。
【急性中耳炎】
突然の耳の痛みで発見されることが多い病気です。痛みを訴えることが出来ない赤ちゃんなどは、耳漏(みみだれ)が出て気がつく場合もあります。この耳漏は、炎症により鼓膜が破れ鼓膜の奥にあった膿が流れ出た状態を言います。
膿や鼓膜が破れることで難聴が起こりますが、適切な治療ができれば一時的なものであり、鼓膜も自然にふさがります。
そのため、抗生物質などを服用したり、症状に応じた点耳薬を併用しながら治療を行います。耳鼻科では、耳を綺麗にしたり、必要に応じて鼓膜に穴を開けて膿をだす「鼓膜切開」という処置を行います。中には副鼻腔や鼻咽腔に炎症が生じる場合もあり、必要に応じてその治療も行います。
【滲出性中耳炎】
耳と鼻をつなぐ管である「耳管」の機能が悪くなり、鼓膜の中の圧が低くなることで、滲出液が鼓膜の中に染み出してくる中耳炎を言います。
原因は、上述の急性中耳炎の後、アデノイドという扁桃腺が少し大きい、鼻炎持ちなどがあげられます。
この滲出性中耳炎は、耳漏や痛みなどの症状が乏しく発見が遅れることが多々あります。耳の聞こえが悪くなる、耳を触るなど気にする様子がある場合、念の為耳鼻科で検査を受けるのが良いでしょう。
【慢性中耳炎】
中耳炎の症状が慢性化したものですね。明確な治療法がまだ確立されていないため、その都度急性中耳炎と同様に治療していきましょう。
【真珠腫性中耳炎】
これは、鼓膜の一部の硬くなった皮膚が中耳に侵入し、細菌感染を起こしながら骨などを破壊していく病気です。破壊する場所も、三半規管と呼ばれる、身体の運動バランスを司る、大切な器官を破壊することもあるため、注意が必要です。この中耳炎の原因はいまだに解明されておらず、注意が必要です。
治療は多くの場合、手術となります。真珠腫と診断された場合には、速やかに治療を受けるようにしましょう。
子どもに多い中耳炎
小さいお子さんに非常に多い中耳炎。なりやすいお子さんは繰り返しなるので、なんども耳鼻科受診をしなければならず、お母さんは負担が大きく感じるものです。
けれど、適切に治療をしないと、聞こえの問題につながりますし、万が一真珠腫などを発症していた場合、発見が遅れると取り返しがつかなくなってしまうため、気が付いた段階で完治するまで、適切な治療を受けることが一番重要です。
お子さんの聞こえが気になるな、耳を触るようになったな、などの症状が見られたら、なるべく早い段階で、耳鼻科を受診しましょうね。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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