先日、施設への食事指導に伺いました。そちらには経管栄養の方もいらっしゃれば、経口摂取の方もいらっしゃいます。お食事の種類もミキサー食から普通食まで様々。その中にミキサー食の方がいらしたのですが、職員さんが何やら苦戦中。どうしたのかな?
今日はそのお話。
ミキサー食のかたち
ミキサー食と一言で言ってもサラサラに近いものもあれば、カスタードクリーム状に近いモッタリとしたものまでいろいろです。
わたしが気になったのはAさんの食事。同じミキサー食でも、カスタードクリームに近いややモッタリとしたテクスチャーが向いている様子。食事形態はまぁまぁ固めになっているので、悪くないのですが、よく見るとあれ?スタッフさんが苦戦中。
それもそのはず、このAさん。少しよだれが多いみたいなんです。お食事を口にいれると、よだれが混ざり緩んでしまいます。そのよだれがスプーンに乗ってしまい、次の1口をすくおうとお皿にスプーンを戻すと、どんどん食事がゆるくなってしまうんです。
モッタリとした食事が適しているのに、どんどんゆるんでしまう。このジレンマ。どうにかして解決しなくては。
なぜゆるむのか
そもそも食事が緩むのはなぜでしょうか?その理由は大きく分けて2つ考えられます。
ひとつめは、よだれが混ざってしまい、そのぶん水分量が増えてゆるむ。これはあたりまえかな?という気がしますね。水分量が物理的に増えれば、それは緩んでしまいます。
それともうひとつ。これが案外知られていないのですが、デンプンを含む食品は唾液が混ざった瞬間に、分解が始まって水分が出てきてしまうということ。
ミキサー食の中には、イモ類や小麦粉製品などのでんぷん質を含んだ食品が混ぜ込まれている事が多くあります。そうなると、唾液のついたスプーンをその食事の中に挿した瞬間、そのわずかな唾液で一気に消化・分解が始まってしまいます。これが結構凄いパワーで、効果テキメンだったりします。そのため、こちらの意図に反してサラサラになってしまうのです。
このAさんの食事も、まさにそうでした。さて、どうする?
前に動画作ったね
そんなわけで、まず最初にひらめいたのが、過去に作った動画です。
この動画にある方法で対応してみたら、違うんじゃないかしら?と期待しました。
どんな方法?
どんな方法かを説明します。
①お皿とスプーンを2つずつ用意します。
②一方を「食べる用」、もう一方を「取り分け用」とします
③取り分け用のスプーンで、食べる用のお皿に一部とりわけます。
④食べる用のスプーンで食べます。このスプーンを「取り分け用」のお皿に入れてはいけません
こうすることで唾液が元々盛り付けられたお皿にはいることがなく、最後まで唾液でゆるんだり消化されるという問題が起きません。
実際にやってみた
実際にAさんの食事介助担当の方に、お皿とスプーンをお渡ししたところ、見事最後までやや固いペースト食の形態のまま食べることができました。
全ての食事の形態を、沢山の人の能力に合わせた状態で提供するというのはとても大変です。また同じように調理していても、その食材の持つ水分量などで形も変化するため、なかなか同じ食事形態だけを提供し続けるって、至難の業だったりします。
ですから現場でこういった臨機応変な対応ができることは、とっても重要だったりします。わたしの仕事はこういう現場の状況を見て、その都度どういう対応が存在しているのかをスタッフさんにお伝えすること。沢山の手段をスタッフさんが知っていれば、わたしがいないときでも問題なく対応できます。こういう日々のやりとりが、支援の変化を生む。そんな関わりをまた続けて行けれえばと思います。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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