【びぃどろ講座】発達障害って何?

私のところに非常に多く相談が寄せられる、「発達障害」。発達障害ってそもそもなんなんでしょう?今日は発達障害について。

発達障害って何?

発達障害が何かを表現する場合、色々な意味も含まれたり、誤解も含まれるので、一般論を踏まえてお話ししようと思います。

発達障害において「教育」という視点が切ってもきれないことから、「文部科学省」が定める発達障害をまず見てみましょう

発達障害とは?

発達障害とは、発達障害者支援法には「自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの」と定義されています。

つまり、発達障害という言葉は、あくまで総称であって、その中にたくさんの診断名が含まれていると言えます。

発達障害って「病気」なの?

発達障害は「病気」ではありません。ではなんなのか?

発達障害は「特性」と言われています。つまり、その人が元々持っている特徴であり、何かのきっかけで突然発達障害を発症したり、努力しないからなったり、親の教育によって引き起こされるものでは無いんですね。

ちなみに「発達障害」の原因は、今のところまだ解明されていません。脳の働き方の問題であるとはわかっていますが、それも具体的に解明されいているわけでは無いんです。

発達障害の種類や人数は?

発達障害はおよそ100人に6〜7人ほどいると言われています。

多いと感じますか?少ないと感じますか?

以前にも記事にしましたが、確かに小学校の頃など、学年に数名「ちょっと変わった子」がいたような記憶があります(過去記事)。こういったお子さんは、きっと診断名の有無は別として、「発達障害の可能性のある子」かもしれません。

また、発達障害には上述の文部科学省の記事の通り、たくさんの種類があります。

比較的多い診断名をあげると、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠如・多動性障害(ADHD)、学習障害、チック障害、吃音(症)などが挙げられます。

今日はこれらの各特性についてを簡単に説明します。

自閉症って?

自閉症という名前をご存じな方は多いと思います。これは正確には「自閉症スペクトラム障害」と言われています。この「自閉症スペクトラム障害」の中に、「自閉症」「アスペルガー症候群」「その他広汎性発達障害」が含まれているんですね。

みられる特性は「対人関係の障害」「コミュニケーションの障害」「興味や行動のこだわり」が中心です。しかしこれも非常に個人差が大きく、あくまで「自閉傾向」という方もいらっしゃれば、意思疎通も困難となる方など、本当に様々です。

注意欠如・多動性障害(ADHD)って?

これはその名前の通り、注意散漫になりやすく、多動傾向の特性を持っています。学童期までに表に出ることが多く、学校での生活に難しさを抱えることがあります。

例えば授業中に席でモゾモゾとしてしまう、じっとできない、しゃべりすぎてしまう、忘れ物が多い、課題や作業の段取りが苦手、整理整頓ができないなどです。

これも、誰にでもみられる事柄も多くありますが、この特性が「強く」出ることが問題となってしまうんです。

学習障害(LD)って?

これは学童期に明るみになる障害です。知的面の発達には目立った問題がないのに、「読む」「書く」「計算」などの、特定の事柄が非常に難しくなります。

これはやはり学業についていくことが難しくなっていきます。この特性にあわせた対応でフォローできることも多いのですが、その環境が整わないと、学業への意欲も落ち込み、学校生活が円滑に営めなくなることがあります。

吃音

これは、言葉が円滑に話せない、スムーズに言葉が出てこない症状を持つ障害を言います。言葉が非流暢になる障害です。

吃音はこれまで発達障害に含まれていませんでしたが、2013年に正式に発達障害として位置付けられました。

主には「話すときに言葉(音)が連続して発せられる(連発)」と、「瞬間あるいは一時的に無音状態が続く(難発)」、「語頭を伸ばして発音してしまう(延発)」といった発話の症状が見られます。

75%が発症から4年以内に回復されると言われていますが、その他の25%は長期的に残存するとも言われ、日常生活で会話を回避するようになるなど、社会不安障害を併発することも多くあります。

現在吃音の原因遺伝子が特定されました。そのため、今後の治療などが大きく期待されているものでもあります。

発達障害の「特性」と私たちの「特性」

発達障害と一言でいっても、実は特性は千差万別です。それは診断名のついていない私たちも同様で、誰でも「特性」があるのです。

ただし発達障害の診断を受けている方々のほとんどが、その「特性」により社会的に「生きづらさ」を感じていることが問題なのです。

全ての障害に言えますが、例えば片麻痺があっても、案外元気に楽しく暮らしている方もいる。失語症で言葉が全然話せないのに、陽気な性格が功を奏して笑顔で過ごしている方もいる。それに対して、障害の重症度は軽度であるにもかかわらず引きこもってしまい、塞ぎ込む生活をしている人もいる。

これは「障害」や「特性」の有無や強弱だけで図れるものではありません。

ですから「特性」に対して、柔軟に対応できるだけの社会の理解がが、必要とされています。

そして、「障害」という名前に振り回されるのではなく、個々の「特性」を持っていても生きづらさを感じることの無い社会づくりが求められています。

まずは知ることから。

皆さんに知っていただくためには伝える人が必要です。

私たち専門職の役割は広げることから。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。