【びぃどろ講座】防災準備できていますか?

台風シーズンン到来につき、ちょっと防災用品について検討してみました.

一般的な防災用品については、ここではあえて書かず、あくまで介助を要する方を抱えるご家族が検討しておいた方が良い防災意識についてです。

逃げる

まず、自宅から逃げる判断となった場合、被介助者をどうやって外に連れ出すのか、という点です。歩けるのか、歩けないなら車椅子なのか。小児と高齢者とで話は変わってきますが、どのようにして逃げるのか、という点は考えておく必要性があります。

ちなみに私は、子どもが乳児の頃は抱っこ紐を防災用品に入れていました。抱っこ紐で抱えることで、両手が空くので、荷物を持って逃げられるからです。被介護者の体格によっては抱っこはとてもできなくなるため、具体的にどうするか、一度しっかりと検討しておくことをお勧めします。

食べる

次に食べ物です。経管栄養の方や嚥下障害がある方の場合、支援物資の食品がすぐに食べられるとは限りません。特に経管栄養剤の処方があるかたは、数日分ストックをしておきましょう。経口のみの方でも、嚥下障害がある場合は、おにぎりなどの支援物資は食べられません。レトルト食品や栄養補助食品などを、ある程度家の中においておき時々使いながらローテーションしていくことも必要です。

また注入の際に使用する器具も、予備があれば1箇所にまとめておき、避難時に一発で持ち出せるようにしておく配慮は必要です。

服薬

意外と忘れがちなのが、服薬情報。薬の名前は覚えていてもグラム数まで覚えていなかったりします。薬の場合容量を誤ると別の問題が生じる可能性があるため、現在の薬の名前・容量を必ず控えておくか、数日分を避けておき、避難時に持ち出せる工夫をしておきましょう。

薬を処方してもらったときの説明書を、そのまま防災用品のなかに入れておくのもいいですね。

排泄

排泄のための準備も忘れてはいけません。オムツやパットなどを日々使用されている場合、必ず必要となるため、日々使用する中でストックを用意しておきましょう。肢体不自由児などの場合、体格的に一般のドラッグストアに置かれていないサイズを使用している方も多いため、特に配慮をしておきましょう。

介護者を増やす

一番大切なことがこれ。介護者を増やしておくことです。

被介護者にとって必要なケアを把握している人が1人だけの場合、その方の身に何かが起きたら、被介護者の命に関わります。

食事、排泄、服薬など日々のケアなどを含め、その方をサポートできる人を必ず増やしておいて欲しいです。それがご家族であったり、訪問看護師さんであったり、ケアマネさんであったり、ご近所さんであったり…各家庭によって、対応できる人の条件は異なると思います。緊急事態に備えて、すぐにサポートに入ってもらうことのできる体制を、日々予測しておければ良いなと感じています。

また、どうしてもワンオペ介護をしている方で、誰にもケアをお願いできない場合でも、手順書等を作成し、防災用品に入れておきましょう。

決して介護も療育も、一人で抱え込まないようにしてください。
この日々の意識が、万が一の時の備えになります。

防災意識とは
万が一のための備えではなく
万が九千九百九十九を整えておくことです。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。