わたしは発達障害を抱えるお子さんに対しての訓練をおこなっています。基本的には在宅での訓練となるため、自宅内にあるおもちゃを使用しています。
自宅内にあるおもちゃということで、以前折り紙の使い方についてアップしました。
※過去記事はこちら⇒『知育玩具は不要⁉折り紙で遊ぼう!』
※YouTubeでの解説はこちら⇒音声解説『知育玩具は不要⁉折り紙で遊ぼう!』
今日は、別の玩具、“ボール”を使った遊び方についてのお話です。
訓練で使うボール
ボールを使うと言いましたが、その種類は様々。・・・というか、基本的には訪問での訓練なので、各ご家庭にあるボールを使っています。
例えば小さいものから順に
ビー玉、ピンポン玉、スーパーボール、テニスボール、5センチくらいのビニールボール、ビーチボール、サッカーボール、バランスボール・・・特に決まりはありません。(なら列挙しなくてもよかったかも・・・(;^ω^))
とにもかくにも、ボールなら、どのご家庭でも1つくらいはありますし、100円ショップでもたくさん売られているので、用意もしやすく訓練で使いやすいのです。
どう使うの?
基本的には、本人の自由に使わせます。投げる、蹴る、転がす、弾ませるなど・・・え?それって当たり前ですよねって?そうです、お子さん本人にはそういう当たり前のことをしてもらうんです。
お子さん本人にはボールを自由に使ってもらいながら、私はお子さんの『目』を見るのです。
そう、『視線』を見るのです。
ボールの軌道を目で追える?
ボールを転がすと、その動きをみんな目で追います。そして、転がる先に物があり、倒れたら喜ぶ。誰かがキャッチしてくれたら楽しい。自分で取れれば嬉しい。そんな表情の変化が生じます。
この、ボールを目で追うって、実はとっても難しいことです。
まっすぐ転がるボールならまだわかりますね。けれど、少し変化をつけるとどうなるでしょうか?
遊び方
例えばこんな遊びはどうでしょう?
トンネルを作ったら、出口から出てくるまで、視線で追えるかな?
素早く転がしても視線で追えるかな?
右や左に転がす方向を変えてもわかるかな?
ポーンと弾ませても、高い位置まで視線で追えるかな?
坂道を転がしても視線で追えるかな?
家の階段の上から転がして、下でキャッチできるかな?
タオルの上にボールを置いて、四隅を持ってタオルブランコできるかな?
数十個のビー玉を一斉に転がしても全部見られるかな?
3つの伏せたコップに1つだけボールを隠して、どこにあるか覚えていられるかな?
視線は集中力
こんな風にただのボールでも、遊び方のバリエーションって実はたくさんあるんです。そして私たちのの観察ポイントを変えると、ただの遊びも発達支援となるのです。
動きの緩やかなボール、見えますか?
少しずつ動きが早くなっても、見えますか?
トンネルをくぐったときに、素早く出口に視線が移せますか?
転がるボールの動線の先を予測して、捕まえに行けますか?
転がるボールの動線を予測して、蹴ることができますか?
スーパーボールを弾ませて、軌道を予測できますか?
ボールを隠されても、場所を覚えていられますか?
こうしてみると、ボール遊びをするお子さんの視線を見ることで、集中力の発達や、物の動きを予測する能力、反射神経、記憶などの変化を見ることができますね。
お子さんの発達を支援したい場合、『今』できることを正確に知ることは、とても重要です。そういう意味でも、どんなことができているのか、そしてそれより少し難しいことをさせてみたらどうなるか、などの変化を見ていきましょうね。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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