食生活をイメージする②~だれが調理する?~

食生活をイメージする
今日は2回目、「だれが調理する?」です

※過去記事はこちら
①はじめに⇒

食事が安定して提供されるためには
「調理をする人」が必要です
この「調理」・・・だれがしますか?

多くの家では
いわゆる「お母さん」や「妻」といった
立場の方がします

女性ですね

今回はわかりやすく「お母さん」という
表現で話を進めます

この「お母さん」は
料理が好き?
料理に負担感がない?
1日の中で、どれくらい料理に時間をかけられる?
お父さんは協力的?
他のご家族は協力的?
お仕事はしている?
日中はどんなことをしている?
車の運転はできる?
・・・など、考えてみます

更に食支援を受ける当事者が
高齢者の場合は
娘?嫁?どちらの立場でしょうか?
お姑さんとの関係性はどうでしょうか?

当事者がお子さんの場合は
兄弟児はいるのでしょうか?
その兄弟児は何歳でしょうか?

そんなことを考えるうちに
「お母さん」の生活が
より具体的にみえてくることが
わかります

さてここで
これが「お母さん」ではなく
「おじいちゃん」だった場合は
どうなるでしょうか・・・?

「おじいちゃん」が料理をする
もちろん、それができる男性も
いらっしゃると思いますが
多くの男性は
積極的に料理をする・・・とまでは
いかないかな?と
想像します

そうなると
食事指導も、「お母さん」と
同じようにはいきません

食事を準備するというものは
買い出し、献立、調理、片づけなどの
一連の流れが必要であり
そのどれか1つが欠けても
食生活は成り立たないのです

以前記事で読んだのですが
いわゆる”主婦”は
1日に14時間も食事に対して
時間を費やしているとか・・・。
この14時間には
献立を決めたり、買い物に行ったりも
勿論含まれています

つまりはそれだけ時間的・体力的・精神的に
労力を費やすものが”食事”であるといえます

もちろん食事以外にも
1日でしなければならないことは
たくさんあるわけなので
その時間を捻出することも必要です

人が1人食べるだけでもこんなに大変なのに
そこに、”食べさせる”という活動が含まれると
その大変さは何倍にもなります
だって、時間には限りがあるのですから

人は皆、1日24時間しかありません
その24時間の使い方を変えることは
実際はとても
難しいことだったりします

人は現状維持が良いという
現状維持バイアスに
かかっていることがほとんどです

食支援が必要な当事者と
その人を支援する「お母さん」に対して
その家庭の24時間の生活を想像しなければ
具体的な指導に行きつかないのです

「誰」が「食べさせる」のか
これが食支援の最も重要なところであり
それにより
食支援の方法は大きく変わるということを
理解しなければ
食事指導・摂食指導は
成立しないのです

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。