先日、施設指導へ行きました。その日の給食はカレー。あれ?なんかむせる方が多いぞ?なんでかな?
カレーは食べやすい?
嚥下障害をお持ちの方が、家族にいる場合、料理をする主婦の方から言われるセリフが「献立に悩みます」というもの。毎回「カレー」「シチュー」「肉じゃが」とかになる。どうしたら良いですか?なんてこともよく相談されます。確かにこれらにはジャガイモも含まれますし、じっくり煮たら柔らかく食べやすいですね。
けれど、その日、その施設の給食は、何人もむせていました。なんででしょうか?
カレーライスの落とし穴
カレーライスを食べる時って、大抵ご飯は普通のご飯ですね。もしかしたらちょっと固めにするかもしれません。そういうご飯にカレーをかけるとどうなるのでしょうか?
カレーをご飯にかけて食べる時、ご飯とカレーがよく混ざるようにしっかりと混ぜて食べますね?するとご飯の1粒1粒がカレーをまとい、ばらけてしまうのです。
カレーをまとったご飯は、粒になりばらけてしまい、咀嚼しようにも口の中に広がってしまい、うまく咀嚼することができません。
そうするとばらけた粒が喉にひゅっと入り込む
そして、、、むせるのです。
カレーを別々に食べてみた
施設指導の際は、あまりにむせるので、カレーとご飯を別に食べさせてみました。するとまだむせる。
う〜ん、どうやらスパイスでむせている。しかもちょっとサラサラ目のカレーだぞ。けれどここに、とろみ剤入れたらきっとダマになってしまうし・・・。
でも本人は食べたい。食べる気満々だ。お腹が空くのもよくないし、どうにか食べられないかな?
カレーって実は難しいの?
まさかカレーライスでここまで苦戦するとは思わず、私も少し頭を抱えました。カレーって実は難しい食べ物なのかしら?でも、カレーってどこでも出ます。食べますね。ですから食べられる方がいいに決まっている。家族で外出の際にも、カレーが食べられればとりあえず外食はできる。という安心感もあるし、気軽に外食できるメニューは欲しい。
うーん、なんとか食べさせてあげたい。
私の出した結論
そこで、私が考えたむせやすい方へのカレーの食べ方の工夫。
それは・・・混ぜない!!!
え?どういうこと?
それはですね、やはりご飯がばらけないような配慮が必要なんです。そうなると、カレーでばらけさせたものを口に入れてしまうと、もうまとめることが難しくなるので、ご飯の粘り気でまとまったものを口に入れて欲しい。
ということで、ご飯とカレーはまぜず、上にちょっと乗せるだけ。
すると・・・大丈夫!噛める!むせにくくなった!
カレーの食べ方
カレーはご飯とルーをしっかり混ぜてしまうと、サラサラになり、ほとんど噛むことなく飲み込んでしまいます。けれど、ご飯粒でむせてしまうような方の場合、やはり少し咀嚼して、ご飯粒を潰してまとまらせてから飲み込まないとむせてしまいます。
たまたま施設指導に行ったその日のそのメンバーが、「咀嚼はそこそこできるけど、粒でむせる」というタイプの方が多かったのだと思いますが、いくらカレーでも「飲み込みやすい」というだけで「噛まなくていい」訳ではありません。
噛みやすい配慮が必要です。
食べやすいもの・食べにくいもの
例えカレーライスでも、食べにくいと感じる方は多くいらっしゃいます。一律で「カレーは大丈夫」とは言わず、食べにくい理由を分析し、より安全に美味しく食べる方法を提案できることが大切ですね。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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