耳の中にはカタツムリがいるって、ご存知ですか?
え?カタツムリ?
そう、耳の中にはカタツムリが住んでいます。それは音を聞くための大切な器官です。今日は、お耳の聞こえのお話。
耳ってなに?
「耳」って聞くと、何をイメージしますか?
そう、👂ですね
これが耳です。これは正確には「外耳(がいじ)」と言います。そして耳の穴の奥に「鼓膜」がありますね。ここまではみなさん知っていらっしゃると思います。
さて、この鼓膜の向こうはどうなっているのでしょうか?
鼓膜の向こうの世界
鼓膜の奥には3つの小さな骨があります。これらは「ツチ骨」「キヌタ骨」「アブミ骨」の順に連なっており、糸電話のように音を伝えます。伝える際に、それぞれの骨がテコの原理を使って、鼓膜の振動を徐々に大きくしながら、耳の中に送るのです。ちなみに鼓膜に伝わった音が、最後のアブミ骨にたどり着く時には、20倍もの大きさに増幅されているとか。すごいですね。
この3つの骨がある部屋を「中耳」と言います。よく、「中耳炎」なんて病気がありますが、これはこの場所の炎症で起きるものです。
さて、「外耳」と「中耳」が出てきました。するとその先は・・・?
内耳の世界
そうです、「内耳」です。
この内耳には2つの大きな役割があります。
●平衡機能(身体のバランス機能)
●聴覚
この2つです。
平衡機能って、なんでしょうか?これは、身体のバランス機能のことを言います。耳の中にある”リンパ液”の動きを脳が読み取って、上下・左右・前後などの立体的なバランスを把握するための場所です。
そして後者の「聴覚」。そうです聞こえに関する場所ですね。この場所に「カタツムリ」が住んでいるんです。
耳に住むカタツムリ
耳の中、「内耳」と呼ばれる場所に、カタツムリの形の器官があるんです。これを「蝸牛(かぎゅう)」と言います。まさにカタツムリの漢字そのものです。なぜ蝸牛と呼ぶのかと言うと、理由はそのまま“形がカタツムリだから”です。
このカタツムリの入り口のあたりに、先ほどの「中耳」の部分で説明した骨「アブミ骨」がくっついています。そして鼓膜からやってきた音(振動)は増幅され、このカタツムリの元へと届けられるのです。
カタツムリの中には何が住んでいる?
耳の中に住むカタツムリの中には、あのナメクジみたいなツノ出せヤリ出せの生き物がいる・・・訳ではありません。あたりまえ。内側の壁にびっちりと、「毛の生えた細胞たち」が並んでいます。毛の生えたって表現もおかしいですが(笑)この細胞を「有毛細胞」と言います。それともう一つ、カタツムリの中は「リンパ液」と言う液体で満たされています。
そう、カタツムリの中は「毛の生えた細胞」が「液体」の中で過ごしている空間なのです。
音がどうして届くのか
さぁ、いよいよです。鼓膜から糸電話のように伝えられた音の振動がカタツムリに到着します。そこからどうなるのでしょうか?
鼓膜から届いた音の振動はカタツムリの入り口を震わせます。それにより「リンパ液」が揺れるのです。そのリンパ液の揺れが、「毛」を揺らします。「毛」が揺れると、その揺れを感知した細胞が脳に「音がきたよ!!!」って信号を送るのです。
これが音の聞こえるメカニズムなんです。音の旅って・・・すごい!
歳をとると高い音が聞こえない?
さて、音が届くたびに振動を受けるカタツムリの中の「毛」たち。カタツムリの渦巻きの中にずらーっと並んでいる訳ですが、やはり入り口付近の毛は、奥の方の毛に比べて、揺さぶられる回数も多く、時間とともに受けるダメージが増えていきます。そして、入り口付近の毛は、加齢とともに徐々に音を感知しにくくなるのです。
そう、この入り口付近こそ「高い音を感知する場所」なのです。
音は、高い音に比べて低いほうが遠くまで届くので、高い音はカタツムリの入り口付近で感知し、低い音はカタツムリの奥の方で感知するようになっています。
カタツムリの入り口付近に住んでいる「毛」は長年ダメージを受け、感度が下がります。結果、私たちは加齢とともに、高い音の聞こえが悪くなるのです。
耳の中の神秘
こうして考えると、耳の中にいるカタツムリ。そしてその中で、音を聞くたびに揺らぐ「有毛細胞」。そしてカタツムリに音を届けるための、3つの骨。全て全て、とても小さいミニチュアの世界のお話のようです。
こんな小さなものたちが、私たちの耳に音を届けてくれているんですよ。
そう考えると、私たちの耳の中に、良い音、良い言葉を伝えたいですよね。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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