先日、戸別訪問のご利用者様であるAさんから相談がありました。Aさんは進行性の難病。話を聞くと、どうやら水分でのムセがでてきたとのこと。
今日はこのお話。
水分をとる
私が訪問するとき、ほぼ毎回水分をとってもらっていました。進行性の疾患ですから、徐々に姿勢も崩れてきていることから、飲むときの姿勢も大きく崩れてきていました。背中が丸まった状態でコップを使って飲むので、首を大きく後ろに伸ばして飲む感じ。
これは非常にむせやすい姿勢なんですね。
そのため、しばしば私の前でもむせるようになってきていました。椅子を変えたり姿勢を変えたり工夫はしていたのですが、疾患の状況や家具の配置は種類などから、変えられない部分も多く試行錯誤を繰り返していました。
そこにきて「ムセが増えた」とのご相談。毎回むせるようではAさんもしんどいはず。早急に対策を取らないと。
首の角度を調整する
コップを使って飲む場合、この姿勢では首を後ろにぐーっと伸ばして飲むしかありません。それがむせる。ということならば首を後ろに伸ばさなくても飲めるようにしないといけません。つまり、下を向いたままでも飲めるようにする必要があります。
どうしたらいいか?
下を向いて飲む。…そう、ストローです。
ストローを使おう
Aさんの生活習慣は、食事のときにはお茶を湯呑で飲みます。更に自室で過ごすときには、奥様が水筒を用意して、日中も飲むように促しています。
この「湯呑」と「水筒」を工夫しようということになりました。
そして、用意したのがこちら。
ストローが挿せるカップと、ストロー付き水筒。
近所のショッピングセンターには水筒がこんな子どもっぽいのしかなかった…。大人の方でも使えるようなデザインでストロー水筒って、なかなかないんですね。ネット通販ならあるのでしょうが、そこは高齢者なのでさすがにご紹介できず。
でも大きさなどもちょうど良さそうでしたので、こちらを使っていくこととなりました。
その後
なかなか使用になれない時期もありましたが、少しずつ慣れてきて、むせる回数が大幅に減少しました。
これでAさん自身も、Aさんのご家族さんも安心して過ごせるかな?と思います。
Aさんは進行性のご病気ですから、今後はコレでは対応ができなくなるときもあるでしょう。なるべく細やかに確認をして、必要になればとろみ剤の導入や調理指導が必要になると思います。
そう言った変化を見逃さないようにするには、常にそばにいるご家族の目が必要です。ご家族が「何を見たらいいのか」ということを適切に把握していること。そして、異常のサインに気がつける事、というのが一番大切です。
そのためにも、見逃さないような指導を常にする。専門家が介入するより、家族が専門家になる。それを目指すことが最も重要なのかも知れませんね。
まずは、環境調整の第1歩。今後の変化を見逃さないようにしていこうと思います。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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