食生活をイメージする⑤~調理する~

食生活をイメージする。
今日は5回目です。
「調理をする」

※過去記事はこちら
①はじめに⇒
②だれが調理する?⇒
③なにを食べる?⇒
④買い物⇒

利用者または利用者家族が
調理をすることを
どこまでイメージできるか。

そもそも調理にはどんな道具を使うのでしょうか?

例えばマッシュポテト
皆さんはどのようにポテトを潰しますか?
私はいわゆる専用のマッシャーで潰すのですが
私の母はすりこ木で潰します
友人はフォークで潰します
利用者さんは泡だて器で潰します

たったマッシュポテトひとつとったって
作り方はさまざまですし
完成品の形も大きく変わってしまいます。

各家庭によって
おいてある道具も様々です
日々使う道具も様々です
つまり
作れるものも様々です

私は料理が趣味なので
オーブンもありますし
圧力鍋や無水鍋
蒸し器
フードプロセッサー
ハンディブレンダーもあります
わりと多い方かなと思います
実際に料理をしていて苦にならないので
いろいろな道具をつかって
いろいろとつくろうとしています

しかし
そんなの持っていないよ~というご家庭も
きっととても多いはず

以前のご利用者さんで
電子レンジがないお宅がありました
温める食品は全て湯煎です
今の時代ちょっとめずらしいかもしれませんが
必要ないな、とおもうポイントは
人によってここまでちがうんですね

このように
持っている調理器具で
作れるものの制限があるため
どういった調理が物理的に可能かを
見極める必要性があります

ミキサーがないご家庭で
ミキサー食が必要だった場合
ミキサーを購入するかの判断が必要となります

誰が決めるんでしょうか?
もちろんご本人・ご家族に決定して頂きますが
金銭的なぶぶんも絡んでくるので
実際にはむずかしいことも多いのです。

これまでの私の利用者さんでは
ミキサー食が必要だけどミルサーなどを持っていないご家庭で
最終的にどうなったかと言うと

・ミルサーを購入した
・市販の嚥下食で対応した
・すり鉢ですった
と言った例がありました
どれも正解だと思います

また今度はこれがソフト食(ムース食)が必要と判断された場合
指導はとても複雑になります

ソフト食は
①食材を軟らかく調理する
②ミキサーする
③専用のゲル化剤を入れる
④加熱する
⑤型に入れる(タッパーやラップ可)
⑥冷却して完成
この手順となるため
料理に慣れていても負担がかかります

じっさい私も何度か作っていますが
毎回完成品の形・固さが変わってしまうものです
いけませんが・・・(;^ω^)

現在はゲル化剤も進化しており
楽にできるものも増えていますが
上記の工程が1~2項目減る程度のため
『簡単』とまでは言い難いですね

けれどこれが必要で、実際に指導すれば作れるご家庭の場合
わたしの訪問では
対象者そっちのけで(笑)
ご家族と台所で調理指導することが多いです

ご家族と一緒に作成し
訪問終了ぎりぎりに試食(笑)
次週までにもう1品のレシピを
宿題としてお渡しし
翌週試食
食べてばかり( ´艸`)♪

しかしこれを繰り返すことで
ご家族も介護食の調理がわかるようになり
自然と生活のなかに
取り込めるようになるのです

きちんとやればだれでもできるようになる
ただ、ここまで指導を家庭でできる方が少ない現状もあるのです

現在は100円ショップなどでも
便利な調理器具が売っています
それらを活用することで
より楽に調理できるようになれます

調理をする方が
主婦なのか否かも重要で
実際にできること
負担にならないこと
生活に取り込めるもの

そんな調理の指導が必要ですね

ちょっと長くなったので
簡単な調理器具や
指導方法については
また次回・・・

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。