先日施設指導へ伺った際に、かねてから問題になっていた「レトルトパックごはん」でむせる利用者さん。これの1つの解決が出来たので、今日はこのお話し。
レトルトパックごはん
この施設は、調理場はなくお弁当持参またはレトルトを提供しています。レトルト食の場合、家庭と同様な食事形態を提供するのですが、今回検討に上がったAさん。家庭では普通食。
そのため施設でもご飯はレトルトパックのご飯にすることに。ところが一つ問題が・・・。
レトルトパックのご飯って、固い・・・。
多分製品化する段階で、1粒1粒が潰れないような加工がされているんだと思います。だからチンした直後はちょっとふっくらしていますが、わりとぽろぽろとした感じになります。
このAさん、咀嚼もなんとかできるのですが、バラけた粒でよくむせてしまう方でした。そしてこのレトルトパックの御飯がとくにむせる。Aさんの食べ方とレトルトパックご飯の相性がとにかく悪すぎる。うーん・・・となっていました。
チンしてからをかんがえる
初めの対策として
- チンしてから蒸らす
- チンする前にお湯などをさして軟飯をつくる
- チンしたあとお湯を入れて再度ちんして軟飯をつくる
こんなことを考えたのですが、どれをやってもいまいち。スタッフのセッティングにかけられる時間も限りがありますし、衛生面の問題から再調理はあまり出来ない。
そんなわけで、どれもうまくいきませんでした。
ご飯粒がバラけない方法を考える
そしてある日、赤ちゃん用品店をブラブラとしているとこんなものを発見!
こんなものがあるんだ!
早速購入して作ってみると、なんとも簡単にミキサー粥が作れるではありませんか。すごい!そうか、レトルトパックご飯とこれを混ぜたらどうだろう・・・?ということで早速実験♪自宅で試したところいい感じ♪
そのことを施設管理者にお伝えし、実践することに♪
当日
こんなかんじでセットします。それをご飯に混ぜると・・・
なんかいい感じ♪そして実食♪
その結果、全くむせることなく安全に食べきることが出来ました♪
これはあくまでAさんの咀嚼方法とこの食事形態がマッチしていたということの結果です。この食べ方が誰にでもマッチしているわけではないんですね。
しかし、その方その方に合わせた対応をしないといけないのが実際の現場には多くあります。レトルトパックのご飯を食べやすくする方法をひとつとっても、こうやって試行錯誤すれば個別対応ができるということが今回の件でよくわかりました。
一昨日の記事(☆)でも挙げましたが、1人1人の状態に合わせて、いろいろなパターンを提供できるためには、創意工夫できる力が私達に必要となってくるのだなと感じました。
当面はAさんはこのご飯で対応していきます。このまま楽しく施設でのお食事を経験してほしいなと思います
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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