先日あったご相談。発達に悩みを抱えるお子さんのAちゃん。あるけれど、なかなか歩こうとしない。歩いていてもすぐに「抱っこ」と言う。どうしたらいいですか?と言うのです。さぁどうでしょうか?
抱っこっていけないの?
そもそも抱っこっていけないんでしょうか?よく子供さんが幼い時に抱っこばっかりしていると、おばあちゃんから「抱っこしてたら弱い子になる」なんて言われませんでした?(最近は言わないかな(・_・;)
でも実際抱っこをし過ぎたところで足が弱くなったりすることはありません。こどもは発達と共に園世界に興味を示し、抱っこから離れて歩こうとするはずです。ですから、親がいくら抱っこしたくても、嫌がられてしまう。なんてことがほとんどです。
では今回ご相談のあったAちゃん。だっこが大好きと言うのですが、ダメなんでしょうか?
抱っこの効果
結論から言うと、抱っこは素晴らしい。ぜひ抱っこしてあげましょう。
抱っこで私が大切と思うポイントは2つ。一つは安心感です。子供は常に頑張っています。1人で歩こうと試みたり、目の前に広がる世界から新しいことを学んだり。五感でたくさんのことを経験して、多くの刺激にまみれて生きています。そのたくさんの刺激から受ける情報を処理できず、疲れることともあるんです。
お子さんにとって、その疲れた頭や身体を休めてくれるのが、ママの抱っこなんですね。
ですからお子さんの、心の発達上、母親をはじめとする「信頼している大人」の温もりと言うものは、必要不可欠なものと言えます。
そしてもうひとつの理由、身体が鍛えられるからです。
え?抱っこしたら歩かないし、鍛えるなんて無理じゃないの?と思うかもしれませんね。いえいえ実はそんなことないんです。
抱っこで身体が鍛えられる
抱っこをする時、みなさんはどうやってしますか?首が座っているお子さんでしたら、だいたい脇の下に手を入れ抱え上げ、胸元から肩にかけて子供と密着し、子供のお尻の下に自分の腕を回して抱き抱えますね。
そして抱っこの途中で電話がかかってきたら、片手で子供を抱え、もう反対側の手でスマホを持つのではないでしょうか?そう、片手で子供を抱えるんですね。
片手で子供を抱えようとすると、どうしても不安定になります。そしてその状態で移動などをした場合、バランスが崩れるので、どうしても子供さんはしがみついたり、自分でバランスを取ろうとするのです。
つまり、抱っこをしているだけで、身体を鍛えバランスを整えるようになるんです。
つまり抱っこをされると言うことは、安心感に包まれたまま、身体のバランスを鍛えることになるんですね。う〜ん、すごい!
Aちゃんの場合?
ではAちゃんはどうして抱っこをせがむんでしょうか?
実はAちゃんはまだ足首や膝の柔軟性が十分育ってはいませんでした。そのため歩く時にクッションが効かず、疲れてしまうお子さんだったのですね。さらに足首や膝のクッションがないと、足が棒の様になってしまいバランスがとりにくく歩きづらいんですね。
そんなことからAちゃんは、どうやら歩くのが苦手な様子
どうしたら良いの?
足にある関節を整えるトレーニングやストレッチなどが自宅で行えると良いかもしれませんね。
また靴の中にはくインソールを検討するのも必要かもしれません。
何れにしてもここからの領域は、専門の理学療法士さんがいるところで見てもらうのが良いでしょうね、と言うお話になりました。
こうやって、だっこが悪影響を及ぼしている様な誤解をされる方は案外多いものです。けれど、お子さんの行動を分析し、本当の思いを汲み取り、適切に対応する。これはチームとしてアプローチが求められる部分と言えます。
専門的な考えが、もっとどのママにも簡単に届けば良いのにな。そう願って止みません。私の知識や経験が、もっと広く知られると良いなと思える、そんな経験となりました。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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