【びぃどろ講座】自閉症って何?

昨日、発達障害について記事にしました(過去記事)。すると、やはり当事者の方から「各診断名についても記事にしてほしい」との声をいただきました。

一度に全部とはいきませんが、少しずつ各診断名についてお話をしようと思います。

と、いうわけで今日は「自閉症」について

自閉症って「自分の中に閉じこもるの?」

自閉症という名前は、「自分」のなかに「閉じこもる」と書きますね。ですから、心を閉ざしているような、そんなイメージを持つ方がいらっしゃるかもしれませんが、それは誤解です。

自閉症は、多くの遺伝的な要因が複雑に関与して起こる、生まれつきの脳の機能障害を言います。原因はまだ解明されていませんし、明確な治療方法も未確立です。また、自閉症の方々は、個人個人の特性の違いが著名であり、一概に治療方針を決められるものでも無いのです。個人個人のニーズに合わせて、適切な療育・教育的支援につなげていくことが求められるんですね。

自閉症の3大特徴

自閉症には3つの特徴があります

自閉症の3大特徴

1. 対人関係の障害
2. コミュニケーションの障害
3. パターン化した興味や活動

この3つの特徴が、人により複雑に絡み合い、それぞれの特性を表すようになります。

対人関係の障害って?

ここで言う「対人関係の障害」ってなんでしょう。私だって対人関係大変よ!なんて思う方もいらっしゃるかもしれませんが、自閉症の場合は少し違います。

例えば幼児期では「目が合わない」「他の子に関心がない」「言葉が遅い」といった、お子さんが発達するなかで自然と育まれる母子関係・対人関係がなかなか育たないことを言います。また、「一人遊びが多い」「指さしをしない」「表情が乏しい」「落ち着きがない」「かんしゃくが強い」などの症状も見られることがあります。

ここで注意していただきたいのは、上述の特徴は「自閉症と診断されるお子さんの特徴」であり、この特徴があればイコール自閉症、と言うわけではない、ということです。

例えば聴覚障害があれば、「声かけに反応できない」「言葉が遅い」などの上記のような症状が見られることも、十分に考えられます。

ですから、いずれにせよ専門家の先生の診断が必要なんですね。

コミュニケーションの障害って?

これも上記の「対人関係の障害」と重なりますが、言語の学習機能が遅れることがままあります。自閉症の半数以上が知的障害を伴うと言われていることから、知的発達がコミュニケーション発達に大きな影響を与えていることが伺えます。

なかには知的発達は異常がなく発育するものの、会話がうまくできないということがあります。

言葉の裏の意味を推し量ることが難しいんですね。

例えば「時計ある?」と聞かれた場合、私たちなら「あるよ」と答えながら時間を確認し「今9時半だよ」と答えると思います。
しかし自閉症の方は裏の意味が理解できず、そのままの意味を解釈するので「持ってるよ」とだけ答えます。

こういった、コミュニケーションならではのトラブルが起きうるのです。

パターン化した興味や活動って?

そして、この項目が最も一般的に理解していただきにくい部分になるのですが、自閉症の方は、特定のものへ執着したり、物事の変化を嫌います。

例えば部屋の模様替え、衣服の変化、生活パターンの変化などです。この変化が自分にとって理解できない・受け入れられない変化だった場合はパニックを起こしたり、これまでできていた活動が急に難しくなったりします。

また特定のものに対して執着することもあります。特定のものを肌身離さず持っていないといけない、などですね。あと少し生活上影響が出るのが食事。特定の食材・お菓子しか食べられ無い、などの執着が見られることもあります。そうなると食事面での影響があり、栄養面の心配が生じます。

また、活動上の症状として特定の行動を繰り返すということもあります。手を叩いたり、ものをくるくる回したり。なかには自傷行動になる場合もあり配慮が必要です。

自閉症の治療

本来はブログですから、ここに有益な情報を求めて読まれる読者の方がいらっしゃると思います。そういった方は「自閉症 治療」などの検索ワードでここをご覧になっているんだと思います。

けれど、やはりこのブログに治療法は載せられないんですね。それは、あまりに個人差が大きいからです。

また、ここに載せる簡単な情報では、自閉症の方の助けになりにくいと感じているからです。

「自閉症」の検索ワードだけで、インターネット上にはたくさんの情報が溢れています。けれど自閉症自体はまだ「治療法は無い」ものです。

しかし、その「特性」に合わせた対応をすることで、その方の「生きづらさ」を解消することができるのもまた事実。

で、あるならば、信用できる方にその「特性」への対応を直接聞きに行って欲しいと思うのです。

私の元へもたくさんの相談が寄せられます。私も小児発達障害の訓練をするようになり経験年数を積んだので、対応できる部分も多くあります。

けれど「これは別の方に見てもらおう」「これはオンラインで相談を受けるより、直接会ってくれるセラピストを紹介したい」と思える方が多いのも事実です。

まずはご家族の方が、その家族の中だけで悩むのではなく、地域の同じ悩みを抱える方との交流を持って、相談できるようになって欲しいなと思います。お子さんが育つのは地域ですから。

もちろん、びぃどろでも相談をお受けすることは可能です。近々無料相談を開設予定ですのでそちらをご利用していただいても構いません。

まずは一人で悩まず。「特性」への対応。一緒に考える仲間づくりをしてみましょう。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。