私の利用者さんには、ダウン症のお子さんが多くいらっしゃいます。ダウン症のお子さんは、ちょっと体格が小柄なお子さんが多いです。今日はそのお話。
ダウン症は小柄ちゃん
私の担当する利用者さんにはダウン症のお子さんが多くいらっしゃいます。そのほとんどが、医療的ケアなどの有無にかかわらず、体格がやや小柄。
どうしても、乳児期は身長や体重の増加が気になりますね。ダウン症のお子さんは心臓の病気を抱えていることも多く、体重が増えないと手術ができないこともあり、お母さんたちはただでさえ日々不安な中、ミルクの量や離乳食の量に頭を抱えながら、体重計と睨めっこしていることと思います。
ダウン症のお子さんの身体的特徴
ダウン症のお子さんは若干身長が小柄ですが、それに比べて体重が増えやすいという傾向があります。身長が伸びない理由は明確には解明されていないようですが、染色体異常による影響であると考えられます。
また、体重については、元々基礎代謝量が低いため、他のお子さんと同じ量を食べても太りやすいことや、身体全体の筋力が弱いため、積極的に動かずに運動不足となりやすいこと。さらに、咀嚼が苦手であることが多く、丸飲み傾向であり、大食いになりやすい。それに加えて、偏食の傾向があるなどといった理由です。これが全て当てはまるわけではなく、そういった傾向のお子さんが多いので、体重が増えやすい子がいる、というイメージですね。
とはいえ、体重管理というものは非常に難しいです。ですから、こまめな身体測定と、環境の見直しを行うといいでしょう。
どんな発育をたどる?
乳幼児期の身体測定では、身長体重の変化ってすごく気になりますよね。ましてや一般的な発育曲線から外れてしまうとヒヤヒヤするものです。
実はダウン症のお子さんのための、発育曲線というものがあるのをご存知でしょうか?
※公益財団法人日本ダウン症協会ホームページより引用(☆)
こうしてみると、一般的な発育曲線と少しずれていることがわかると思います。また、身長の増加以上に体重の増加の角度が急になりやすいこともおわかりいただけると思います。
戸別訪問のダウン症児さん
先日、幼児期のダウン症のお子さんAちゃんの家へと訪問しました。今回の訪問のメインは「離乳食のステップアップができるかどうか」でした。ちょうど夕飯が鍋の予定とのことで、鍋が炊かれていました。温かくていいですね♪実際の食事場面を評価して、指導した結果、無事にステップアップすることができました。素晴らしい!
このAちゃん、実はとっても食欲旺盛。もう周りの家族が食べていると「あうあうあうあうーーー!」と大声で怒っています。鍋なので冷まさないといけないのに、全然納得しない(笑)
それほどよく食べるお子さんでも、体重はまだまだ小柄ちゃん。何度も入院や手術をしたことも影響しているのだと思いますが、まだまだ小柄なんですね。食べない子に悩まされているお母さんがいる中、食べすぎて困るというのもある意味贅沢なのかもしれませんが、お母さんからしたら「食べる」「食べない」というのは本当に大切な項目であることは事実です。
そして食べることは栄養面や運動面なども含めて、トータルで見ていかないといけないことなのですね。
STとしてできること
私は言語聴覚士ですから、お口の動きや機能に対して、とても注意をしています。そして私に与えられた役割として、「丸飲みをしない子に育てる」というもの。
これが結構難しい。けれど丸飲みをしないように配慮することはとっても大事。それは食べさせ方や、1口量、さらには離乳食のステップアップいのタイミングはとても大きく関係し、それらによって大きく変化していきます。
そして運動量・活動量の確認をしながら、1日の栄養量・水分量の確認も必要となります。栄養のとりすぎはよくないですが、ジュースやお菓子などではないのであれば、タンパク質のバランス等を考えながら、積極的に成長を促してあげたい。肥満ではなく発育をきちんと後押ししてあげる必要がありますね。
小さいお子さんなりに、本人のペースで発育を促してあげること。そして、本人にとってベストの体重増加を導き出せること。こういった支援はお母さんだけでは大変です。お医者さんや栄養士さんなどの専門家との相談は必須です。
そして、それらをもとに私は言語聴覚士として、「どの食事支援が適切か」を見る必要があると思っています。
できるだけ小さい時期に、まずは確認してみましょう。お口の力と食事支援が合っているか、みんなで確認してみましょうね。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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