【びぃどろ講座】運転中に手話していいの?

私は中学2年生の時に、たまたまテレビで手話番組を見たときに「なんて素敵な言葉なんだ!」と感動し、手話の世界にのめりこみました。以来細々と20年以上継続していると言うところです。

と、言うわけで、今日は手話のお話。

手話ってなあに?

「手話」と言う言葉を知らない方はほとんどいないと思います。しかし、手話が一体何かを正確に理解されている方はあまりいないかもしれません。

手話が何かGoogle先生に聞いてみました

手話(しゅわ)は、手指動作と非手指動作(NMS, non-manual signals)を同時に使う視覚言語で、音声言語と並ぶ言語である。手話は、聞こえない人(聴覚障害者、ろう者)、ろう者の親を持つ聴者であるコーダ等が中心となって使用している。(Wikipediaより引用)

うーん、わかるような、わからないような。つまり、ざっくり言うと、耳の聴こえない方達の言語です。そう、手話は“言語”なんです
当たり前じゃん?と思うかもしれませんが、「言語」と言う認識は重要です。これがどう言うことかと言うと「日本語とは違う言語」と言う意味です。

手話と日本語は別物?

手話にも種類があります。日本で使われる手話には大きく分けて2種類。
「日本語対応手話」と「日本手話」。一応、その中間の中間手話というものもあります。

私たちが手話サークルなどで勉強する手話は「日本語対応手話」です。「日本語対応手話」は主に聴こえない人と聞こえる人とが会話をするために生まれた言語であり、日本語の1語に対して手話1語という表現に近くなります(全てがそうではありませんが)。基本的には「日本語」があり、それを手話に直したもの、という認識です。

これに対して、聴こえないもの同士が会話をする上で自然発生的に生まれたものが「日本手話」です。この日本手話使用者は、生まれながらに聴こえない方ですから、日本語を知りません。ですから、日本語の代償として手話を使用しているわけではなく、純粋に成長し生活する中で、コミュニケーション手段として獲得していくわけです。

こういったことからも手話は「言語」ですから、地域差もあります。それを言うと、「“ありがとう”にも“おおきに”って手話があるの?」とか言われますが、そうではありません。各地域特有の表現がある、と言うことです。

例えば、「青森県」は標準的には「青」と「森」の2つの手話をつなげて表現するのですが、地元の人は下北半島の形を表現する…らしいです。

このように一言で「手話」といっても表現は色々ですね。

手話と指文字

さて、手話の話で必ず話題になるのが指文字。これも、名前は皆さんご存知かと思います。これはまた手話とは異なります。

手話は話し言葉です。これに対して、指文字は書き言葉である「文字」を視覚表現に置き換えたものです。ですから、基本的な成り立ちが異なります。

また、よく誤解をされるのですが、手話で表現できない言葉はすべて指文字で伝わるかというと、それは伝わりません。なぜかというと、指文字は日本語をベースにしています。ですから、手話が母語である人が、第二言語として日本語を学習したと考えたとき、どれほど文字の学習・理解ができるか、という点が影響します。

とはいえ、最近は学校での教育もきちんとしていますし、ほとんどが文字の理解ができていて、メールやLINEでのやりとりができる方も多いので、表現できない手話があった場合、指文字で代償も充分可能である場合がほとんどではあります。

車の運転中ってどうする?

そんなわけで手話歴が無駄に長い私ですが、これまでに何度か聾者と車で出かけたことがあります。いずれも私が運転手です。
その場合の会話、どうすると思いますか?

結構、普通に話します

ただ注意点はあります。

  • これまでに何度も会話をしており、その方の手話表現の癖を知っていることが前提
  • 助手席の聾者は少し前気味で表現
  • 私は片手表現のみ
  • 基本的に私の発信が主

これを守れば、話すことは難しくはありません。安全か否かと言われても、とりあえず私は大丈夫としか言えません^^;
あと結構便利なのが、2台以上で連なって出かける時は、信号待ちのたびに前後の車で手話で話せたりします。「次のコンビニで休憩ね」とかも手話で言えちゃいます。

一番難しい手話

そんなわけで長年手話をしていることから、私、指の動きがすごい滑らかです。先日知人4人がfacebook上でこんなポーズを取っていました。

何やら怪しげなポーズ…

その写真を見て、右から3番目のPT吉岡さんに「指の開きが甘い!」と突っ込んだんですね。
ちなみに私はこれくらいは普通です。

めっちゃ開く!

どうでしょう?私はちっとも辛くないんですけどね。
ところでこれまで学んだ手話単語の中で、できなかったものはないですが、私の考える一番指が辛い手話があります。それは・・・

「80」です。

数字か〜い。そう、数字。この「80」はみんな「指がつりそう」と言います。ちなみにどんな表現かというと、これ。

(左)聞き手から見た形 (右)話し手から見た形

どうでしょう?難しいですか?きっと吉岡さんはできないんだろうな〜なんて思ったわけです。吉岡さん、手話の練習をしてみては?(笑)

知っているようで知らない手話の世界。ここのところ聴覚関係の投稿が続きました。少しはお耳のこと、お伝えできているでしょうか?

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。