【びぃどろ講座】飛行機で耳が痛い

よく飛行機に乗ると耳がボワんとして痛い〜!何てことありませんか?今日はそのお話。

耳の中の構造

耳の中の構造については以前にも記事にしたことがあるのですが()、この構造を再度おさらいしてみましょう。

私たちが一般的に「耳と思っているもの。これは「外耳」というものです。この外耳の中に管があり、その奥に「鼓膜」があります。

鼓膜の向こう側が「中耳」と言われるもので、さらに奥へ行くと「内耳」へとつながっていきます。

さて、この飛行機の中の耳がボワーン。これは「中耳」が関係しています。

ボワーンとなる理由

鼓膜を挟んで外側が「外耳」、内側が「中耳」なのですが、ここは空気に接しています。

飛行機などにのって高いところへ行くと、外気の気圧が下がります。それにより元々は「外耳」側と「中耳」側の気圧は等しいところ、外側の大気圧だけが下がるため、鼓膜が外に引っ張られます。

逆もまた同様で高いところから着陸態勢に入ると、今度は「外耳」側の大気圧が高くなり、鼓膜が内側へひっぱられます。

これらの理由から、耳の中がぼわーんとした違和感を感じるんです。

どうしたら治るの?

飛行機に乗ると離陸・着陸前後にキャビンアテンダントの方から飴玉が配られることがあります。じつは飴をなめたら治りやすいんですね。

どうしてでしょうか?これは中耳の中の構造が影響しています。

上図にもあるように、中耳の中には下に伸びる1本の管があります。これは「耳管(じかん)」といいます。この耳管はどこにつながっていると思いますか?

答えは鼻の中です。

鼻の中は、鼻の穴とつながっていますから、外気とつながっています。つまり耳管を通して中耳も外気とつながっているということになります。

この耳管はふだんは閉じているのですが、なんかしらの圧力などが加わると開き、中耳の中と外の大気圧が均等に保たれる、そう言う仕組みになっています。この圧力というのが「ごっくん」という「嚥下圧」を含んでいるんですね。

つまり飛行機で飴などをなめることで唾液が出て、つばを飲む。その圧力で耳管が開き、中耳の中の気圧と外気圧と均等にするのです。

飛行機での離陸の際に、鼓膜の外と中とで気圧が変わるため、鼓膜が引っ張られて「ぼわん」となるのですが、そこでつばを飲み込んで鼓膜の中の気圧を調整する。これが、この「ぼわん」の対策となります。

思い出

昔、社会人になりたての頃、飛行機の中で参考書を読みながら過ごしていたら、隣のサラリーマンから声をかけられました。

「看護師さんですか?」

たまたま参考書を読んでいたためそう思ったんだと思います。言語聴覚士と言っても伝わらないので「はい」と答えました。すると「すみません、飛行機に乗ると耳が痛いんですが、これってどうにかならないですかね?」と聞かれたのです。

「飴なめたら治りますよ?」とお答えすると、その方はキャビンアテンダントの方に飴をいただきました。

着陸後、「すごい!本当だ!全然痛くなかった!!長年の悩みだったんです。本当にありがとうございます!!」と、ものすごく感謝されました。

案外みんな知らないものなんでしょうか?

また子供たちと飛行機に乗るときも同様で、飲み物やちょっとしたお菓子を持っています。そうすることで耳の痛みを感じることなく、スムーズに旅行を楽しめます。

わずかなことですが、これだけのことで耳の違和感がなくなり、気楽にフライトを楽しめるようになるんですよ。

是非試してみてくださいね♪

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。