以前記事にした、支援学校給食改革(過去記事→☆)。今日はその後について。
支援学校給食改革って?
支援学校には、重度の障害を持つお子さんも多く通っています。しかし、私の活動エリアにある学校では、そういったお子さんに対応した給食の提供が現在十分にはされていません。
数年前、私が担当児童の給食を見学させてもらおうと学校にお邪魔した際、提供された給食が「子持ちししゃものフライ」でした。ミキサー食を食べるお子さんです。ししゃものミキサーですからモソモソで食べることができず、むせ返りながら食べていました。そしてその隣で、咀嚼がうまくできないお子さんが、ぶつ切りになっていたししゃもフライを喉に詰まらせるという事故も起きました。
2人の児童とも、幸い大ごとにはならず給食を終えることができ、さらに今後はししゃもフライの日には別メニューを提供していただけるようになるなどの対応が取れるようになりました。
しかしこれは実はごくごく一部の例です。その後も給食が、重度障害を抱えるお子さんに優しいものにはまだ変わったとは言えない状況が続いています。
それを変えたい。そう声に出して活動を始めています。
これが「支援学校給食改革」です。
全国はどうなの?
自治体によって給食は大きく変わります。とても充実した食事が提供される学校もあれば、上記のようにハイリスクの給食が提供されている自治体もあります。問題意識はあるものの、予算や人員、調理場環境など様々な改良点がある以上、すぐに変えられるものではないのです。
また県立学校であるにも関わらず、県内の学校でも統一化されておらず、学校毎に対応・状況が違うという実態もあります。
前回のブログをアップした時、全国のSTさんや管理栄養士の方からたくさんのメッセージをいただきました。「問題意識を持っています」「こんな活動したよ」「うちも同じです」「知らなかったので、変えていきたい」など、本当にたくさんのご意見と応援をいただきました。
誰に言えばいいんだろう?
ずっと変えたいと思っていたものの、「誰に言ったら変わるんだろう」と悩む日々でした。ある日、教育方面に強い友人の1人に私の想いを相談することにしました。そこで友人から紹介していただいたのが、県議会議員の西本健治郎さんでした。
やはり県立学校です。県へアプローチしないといけないんだと感じたのです。
県の教育委員会へ
西本議員のはからいで、県の教育委員会の方々に私の活動エリアまでお越しいただき、給食改革に対する私の想いをプレゼンする時間をとっていただくことができました。
契約している重心施設の利用者さんに協力していただきながら、重度障害を持つ方々にとって、幼少の頃の食事が将来にどのように影響するかを動画や写真を使って説明し、なんとか給食の食形態を変える働きをしてほしいと訴えました。
「教員指導・教員教育をしましょう」というご返答をいただきました。
けれど、それでは意味がないのです。
「たとえ先生方がどれだけ上手に食事介助できたとしても、ししゃものフライが出たら食べられません。食事形態を変えないといけないんです」とお伝えしました。
その後どうなった?
そう訴えた結果どうなったか。
まだ、何も変わっていません。すでに9月。来年度予算には間に合わなかったなぁと思っています。私の動きが足りなかったと反省しています。プレゼン後も良い返答を得られず、また道に迷ってしまった、というのが本音です。
そんな中、私の活動を西本議員が県政レポートに載せてくださいました。
もちろんそれで大きな変化が起きることは、さすがにないとは思っています。けれど、「問題意識を持っている人がちゃんといるよ」ということは、やはり発信していかないといけないですね。
次に私がすべきことはなんなのか、まだよくわかっていません。時々「私、独りで何やってんだろ。本当は誰も給食改革なんて望んでないのかも・・・?」とか不安になります。けど、目の前で誤嚥・窒息を起こしたお子さんを見た以上、変えなければならないな、と思うのです。
みんなが同じ方向を
もちろん、市内でも「給食に困っている」という意見はいろんなところから聞くのです。就学前に「ここまで食べられるようになったけど、学校に入ったら給食がまた変わっちゃうからな〜」なんて意見もあります。
でも文句だけを言うのはやめてほしいのです。学校だって県だって、限られた環境で限られた予算で限られた人員でやっていることです。「学校が悪い」みたいに言われて良い気分するはずはありません。
悪いと思うならば、それを一方的に言うのではなく変える解決策を一緒に考えたいのです。支援ってそう言うものだと思うのです。
子どもたちにとって、楽しい学校生活を送れるようになってほしい。
学校の給食、美味しいね、と言えるようになってほしい。
そのために同じ方向を向ける仲間がほしい。
そんなことを思いながら、活動をしようと改めて思った、今日。
支援学校給食改革への想いはまだまだ継続中。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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