小さいお子さんの中には「わたし」がうまく言えず、「わたち」って言ってしまう子がいますね?小さいうちは可愛らしいけれど、これって大丈夫?
今日は発音のお話。
「わたし」が「わたち」になる
小さいお子さんの、このような言い間違え。初めは可愛いな♪って思っても、周りのお子さんの発音が上手になる中、いつまでも赤ちゃんのような幼い発音が続くと心配になりますね。
そもそも発音って、何歳でできるようになるんでしょうか?
発音ができる年齢
発音ができるようになるには、個人差があるのですが「言い始める時期」があり、そのころはまだ上手に発音ができません。それから徐々に発音が上手になり、最終的に正確に発音できるようになるのを「獲得時期」と言います。下記にこの一般的に言われている「獲得時期」をまとめてみました。
【2歳代】
音の中で、一番最初にはっきりと言えるようになるのが「母音」です。つまり「あいうえお」ですね。
そして、パ行・バ行・マ行・ヤ行・ワ・ンが子音の中では早くに言えるようになります。赤ちゃんの初語が「ママ」や「まんま」、「パパ」「わんわん」などになるのも納得ですね。また、この頃は舌の使い方があまり上手ではないんですね。ですから唇の動きだけで発音がしやすい音が中心になります。
【3歳代】
この頃から少しずつ、舌の動きが上手になってきます。とは言え、まだ細かい動きはできませんから、舌を大きく動かして発音するような音が中心になります。具体的にはタ行・ダ行・ナ行・ガ行・チャ行が言えるようになってきます。この時の舌の動きの特徴は大きな動きであるという点と、舌を上手に動かせなくてもアゴの動きでカバーできるような動きであるという点です。
【4歳代】
徐々に舌の細かな動きが可能となり、ピンポイントで舌の奥の方だけ動かすなどができるようになります。そのためこの頃からカ行・ハ行が言えるようになるのです。
【5歳代】
この頃になると舌の細かい動きもできるようになり、複雑に動かして発音するような音が言えるようになります。サ行・ザ行・ラ行などですね。
こうしてみると、発音ができるようになるまでには結構ばらつきがあることがわかりますね。
そして冒頭の「わたし」が「わたち」になる、という部分も「ち」は3歳代で言えるようになるのに対して、「し」は5歳代なので、言い間違いの期間が長くなるのも当たり前です。
また、一番遅くに言えるようになる音も5歳代であることから、ギリギリ6歳近くまで言い間違うことも十分にありうるということです。
ことば教室に行ったほうがいい?
発音が気になるようになると、今度はことばの教室などに行って、発音を専門家に見てもらったほうがいいのかな?と不安になりますね。
基本的には上記の年齢で発音ができるようになるわけですから、その時期を過ぎても明らかに言い間違えをしているな、聞き取りにくいな、と思えるようでしたら、相談へ行かれることをお勧めします。
発音の間違いには、発達の中で見られる通常の言い間違えと、訓練などが介入する必要のある言い間違えがあります。この違いを判断するのは、やはり専門家です。
どこに相談しよう?
相談窓口は、市の発達センターなどにあることがほとんどです。まずは各自治体の発達センターに相談に行かれるのもいいでしょう。
またびぃどろでは、メール相談室(☆)やオンライン相談室(☆)にて発音の訓練も行っています。「この発音はどうなのかな?」と不安の方は、動画でお子さんの言葉の様子を撮影していただき、その動画をお送りいただけると、その様子を評価してお返事することができます。ちょっとセンターに足を運ぶのは不安・・・でも相談したい方はメールでの相談は気軽かもしれませんね。
何れにしても、相談に行くとなるととてもハードルが高いかもしれませんが、育児って常に不安だらけ。相談できる窓口があるんだということを知っていただければいいな、と思っています。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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