私は絵を描くのがとても好きです。正確には「好きでした」かもしれません。今はやりたいことの優先順位が変わったのであまり描くことがなくなりましたが、それでも絵を見ることも好きです。
そんなわけで育児をしていると、子供と絵を描くことが楽しいな、と思ったりします。今日は、子どものお絵かき能力の発達についてのお話。
お絵かきは何歳から?
お絵かきのようなものに興味を示すのは1歳前後。ペンを紙に走らせることで絵が描ける喜びを知ります。そうして「なぐり書き」が始まります。
なぐり書き期
1歳ごろから始まったなぐり書き。これはおよそ3歳くらいまで続きます。手を動かして描くこと自体が楽しく、喜びとなっている時期です。この時期は筆記具を持って細かく思い通りい動かすことはまだできません。あくまで肩の大きな運動から始まって、徐々に動かせる部分が細部に渡るようになり、腕、手、指へと徐々に動きの精度が上がるようになります。
その発達に応じて、直線が描けたり、曲線や円、そして四角形などを描けるようになります。
そして子どもはその描いた物を使って、見立て遊びを行います。遊びとお絵かきが一体となっているんですね。
そうしているうちに、周りの大人が「これはなに?」などど質問し、それに応答するという流れが自然とできます。その単純な質問と答えを繰り返すうちに、子供は「この描かれた線には、何か意味があるんだ」ということを学びます。そして、目的のものを描くためにはどう表現したら良いのか、ということを自然と学んでいくのです。
徐々になぐり書きが成長すると人物を描くようになります。この頃に描かれる人物はとても独特な形をしています。丸い頭(顔)から直接、手足が出ている形になっています。これがどうして描かれるのかはまだ解明されていないようですが、何れにしても正常な発達の流れの一つと言えます。
図式期
3〜4歳をすぎたあたりから、絵に変化が現れます。丸や四角などの様々な形を組み合わせた絵が描けるようになります。
それらを組み合わせて人や家などを書き表せるようになるんですね。これはもののイメージを覚えて描く、ということができるようになってきた証拠でもありあます。
写実期
そして徐々に絵の能力が発達し、イメージしていた物を、丸や四角など図式を組み合わせて描いていた段階から、徐々に対象物を一定の視線から目に映るのと同じように描く、という時期がやってきます。これが写実期ですね。
ちょうど小学校1〜2年生頃に訪れます。この頃から、立体や遠近法などを少しずつ取り入れた絵がかけるようになってくるのです。
さらに高度な、いわゆる“芸術性”を求めた絵は、もっと大きくなってからになりますが、こうして絵の発達がなされていくことはわかると思います。
絵の発達の難しさ
絵の発達はこうした部分に合わせて、手先の巧緻性の発達も大きく影響しています。また、精神面を絵で表現することがあるように、情緒の発達、視覚・色覚の発達など、様々なものが絡み合って育まれていくものです。
今の能力にあった筆記用具を選ぶことで、書きやすくなり、書くことに楽しみを見出せることもあるでしょう。
いろいろな絵を見ることで、感動して刺激を受けることもあるでしょう。
いろいろな経験を通して育まれていくものではありますが、子供は絵が大好きなもの。あまり難しく考えることなく、自由にのびのびと表現できて、それを見守ることができたら、それが一番楽しいことではないでしょうか?
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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