【びぃどろ講座】実録!こんな痛い口腔ケアは嫌だ


みなさん毎日歯ブラシなどを使って、口腔ケアをされますね。そして育児や介護をするようになると、自分以外の人にも口腔ケアをしますね。しかし、自分の口ならわかるけど、人の口。実は痛い思いしているかもしれませんよ?今日はそのお話。

この3箇所は痛い!!

今回はスポンジブラシ による口腔ケアについてになりますが、実はこのスポンジブラシを使った口腔ケアには、絶対に触れちゃいけない場所が3箇所あるんです。ご存知ですか?

①口唇の裏スジ

上下の唇をめくると、ちょうど中央に縦にスッとスジがあるのがわかります。このスジは薄くて柔らかいので切れやすいのです。そして、ブラシなどを使ってザザ〜と擦ってしまうと・・・

この画像には alt 属性が指定されておらず、ファイル名は tongue019-1.png です

すっごい痛い!!!

必ずここを通らないようにブラシをしましょう。

②舌の裏スジ

これも①の唇の裏スジに似ていますが、今度は舌の裏。これは舌小帯と言って、赤ちゃんの哺乳に影響することがある、とも言われており、乳児期の歯科でチェックされることもあります(これの治療については別記事)

この舌の裏のスジも、口唇と同様にブラシなどで直接擦ってしまうと、非常に痛みます。ですから、舌の裏をスポンジブラシなどで口腔ケアされるときは、十分に注意しましょう。

③犬歯

そして一番やってしまいがちなのが犬歯。前から数えて左右三番目の歯です。この犬歯の歯茎って、実はとてもデリケートなんです。ですから、そこにスポンジや歯ブラシが当たってしまうと痛みを伴います。ですから強く擦らないように注意しないといけません。

この「強く擦らない」という点は、「硬いものをあてない」という意味も含まれます。

え?スポンジブラシ って柔らかいですよね。でも硬い部分があるんです。

そう、「軸」です。

スポンジブラシの軸?

スポンジブラシには軸がついています。プラスチック製や紙製など、それぞれですが、いずれも軸があります。そして、今回お話している口腔ケアの時に触れて欲しくない場所。それはこの軸の「先端」なんです。

とはいえ、口腔ケアの時にブラシで歯を突くことってないと思います。そう「意図的には」

けれどよくよく手順を改めてみていると、実はこのスポンジブラシの先端で、犬歯を擦ってしまうことがよくあるんですね。

ブラシの先端が犬歯に当たる?

この図をご覧ください。口腔ケアをする時って、普通は奥の歯から磨きますね。そして、徐々に前方へ。そうあっています。しかし前方に来た時に左図のようにブラシを引き出していませんか?

よ〜く見ると、ホラ。歯並びがカーブを描いている部分なんです。そこにそのまま引き抜いたブラシが来ると…先端で擦ってる!!!

このままスポンジをスライドさせたら、絶対に犬歯にスポンジブラシの先端があたり、痛みを伴います。ですから、右のようにスポンジブラシを横に倒して、「ブラシの側面」が歯列と並行になるように磨きましょう。

まだまだ気が抜けない

こうしてブラシを横に倒して、側面で歯列を磨いてしまうと、もうひとつの関所が。口唇の裏スジです。

このままブラシをスライドさせてしまうと、裏筋をガリッとやってしまいます。痛そう!!

そうならないためにも、正面にスポンジがきたらスッと引き離しましょう。片側できたら反対側。上下4箇所同様に行います。

痛くないケアを目指して。

口腔ケアは毎日しないといけません。それが痛みを伴うものでしたら、こんな大変なことはない。口腔ケアをされる人は、痛みで嫌になってしまうかもしれない。お子さんだったら嫌がって泣くこともあるでしょう。せっかく磨いてあげようとしても、嫌がられたら、とっても辛いですね。

ポイントを抑えれば、誰でも痛くない口腔ケアを行うことができますよ。試してみてくださいね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。