【びぃどろ講座】食事場面の現場検証!

先日の12日に、山口PDN胃瘻セミナーの講師を担当させていただきました。その際のテーマが「在宅における食事介助時のリスクマネジメントの実際」というもの。今日はそのお話。

食事介助時のリスクって?

食事でのリスクとは何か?というテーマで考えたときにキーワードとなるのが「窒息」と「肺炎」です。さらにリスクを回避するためには「事前に防ぐ」視点と、「事後に適切に対処する」という視点が必要です。さて、では「窒息」や「肺炎」を事前と事後に分けて、どうやってリスク管理して行ったらいいでしょうか?

自宅をみる視点

さて、今回は360度カメラで症例の食卓を撮影。そこから読み解ける、リスク回避の方法を説明したのです。お見せした食卓はこちら。

※動画使用許可は頂いておりますが、ぼかし処理をしています

実際はじっくりみられるように私が操作しています。

こういう自宅で食事をする場面を何の気なしに撮影するだけで、どういうお家かな?家族構成は?どんな人が要介護者で、どんな生活を送っているのかな?と言った視点がわかったりします。

今回の検証内容

私が在宅で食事評価をするときは、要介護者と介助者の座る位置に注意します。座る位置の何が重要なんでしょうか?

重要なポイントは大きく分けて2つ。「介助者が身体を痛めない位置」と「緊急時に対応できる」という事。

【介助者が身体を痛めない?】
これって意外と忘れがち。介助者が食事を食べさせる時に腰を捻るような姿勢になる位置はやめさせます。これが意外とみんなできない。たまに「なんでそんな姿勢で食べさせてるの?」と思うことがあります。多分、食べさせているそのときはさほどきつくないんでしょうが、毎日のことです。チリも積もればで、腰を痛めたり、手首を傷める人が多いのです。ですからそういうことを起こしにくい、楽な姿勢が保てる位置を検討します。

【緊急時に対応できる位置?】
これが今回のセミナーでお話したこと。緊急時とは?それはわかりやすい例で言うと「窒息」の時に助けられる位置にすると言うこと。

窒息の時に助けるために

窒息をした場合、それを吐き出させたり、窒息者を前傾にして押し出す方法などをとります。

しかしそれらを行うためには、「窒息者の前方か後方に救助者が立てる」または「窒息者を前傾にできる」と言った、空間的なゆとりが必要です。

さぁ、今みなさんがご自宅で食事中に家族が窒息を起こしました。上記のような姿勢がスムーズにとれますか?

セミナーにて

今回のセミナーでは、「みえ呼吸リハビリクリニック」院長の井上登太先生から直接、窒息時の対応をお話ししていただきましたが、こう言う姿勢をどうやってとるのか、何度も繰り返していてもきっとそんな場面に出くわしたらうまく動けないものだと思います。

けれど、実際に驚いてしまって「動かない」ではなく、椅子やテーブルが邪魔で「動けない」と言う事態は避けたい。そうすることで、助かる命があるならば、それは必要な配慮だと思うのです。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。