【びぃどろ講座】支援学校、どう選ぶ?

先日、指導に入っている施設の職員さんから、呼び止められました。「長岡さん!Aちゃんの性格とかを考えたら、小学校ってどこに行ったらいいと思います?」とのこと。今日は障害を抱えるお子さんの、どこに入学するか問題について。

どの学校に入学するか問題

私は、障害児の中でも肢体不自由児の担当ケースが多く、今回ご相談いただいたお子さんも肢体不自由児である、ということを前提にお話を進めます。

私の活動エリアには肢体不自由児の受け入れがある学校は2校(本当は3校ですが、ちょっと中心部から外れます)。さらに地域の学校であれば、特別支援学級もいくつかありますので、就学を考える年中〜年長さんくらいになると、「どこに入学する?」という悩みが生じます。

私のスタイルは、一切口出ししない、というスタイルですので、基本的には本人や保護者の方の決定を尊重します。とは言え、必ず相談はされるので、私なりの見解は説明します。

学校ごとの特徴

支援学校と支援学級、色々違いがあるのは当たり前ですね。私は今の地域でしか活動しておりませんので、全国の様子はわかりません。その上でひとつお伝えするとすれば・・・

学校によって違いすぎる…๛(-△-;)

いや、当たり前かもしれませんが、そうなんですよ。それともうひとつ。すっごい嫌な言い方になりますが・・・

担任の先生次第…๛(-△-;)

いや、すみません、本当に。実際に担任の先生次第で、大きく変わってしまうのが障害児教育かなと思います。もちろん定型発達児も担任の先生から受ける影響は多々あります。でも、肢体不自由児などは本当に先生なんですよ。肢体不自由児などの重度障害を持つ子どもさんの場合、友達との交流が十分できないことも多いので、友達に救われる、っていうこともあまりないわけです。学校で過ごす時間を全て「担任の先生と過ごす」のです。
私たちって、担任の先生が嫌だなって思っても、友達と乗り切ったりとかできたと思うのですが、障害が重度であればあるほど、それができないんですね。

なので、私が考える学校の選び方のキーワードは「担任の先生」なのです。

担任の先生は誰か問題

そこで浮上するのが、「担任の先生が誰か」問題です。これもまた非常に難しく、公立学校であれば「入学式・始業式まで発表されない」という事実があります。確かに、私たちも始業式の日にクラス替えの紙を見て担任の先生を知る、って感じでしたよね。それは支援学校などでも同じです。

ちなみに私の担当児で、肢体不自由児ではないのですが、染色体異常のお子さんで地域の普通学校の特別学級へ入学したお子さんがいました。入学直前に相談員から担当者会議への参加について相談され、「担任の先生が決まってないのに引き継ぎするんですか?」と尋ねました。すると「特別に担任の先生が出席してくださるみたいです!」と言われて、おぉすごい、特例だ!と思って担当者会議へ参加しました。担任の先生に児童さんの性格や注意事項を話しホッと一安心したのです。ところがびっくり、入学してみると、全然違う先生・・・ぇぇぇぇl||li(ФДФ;)il||li
引き継ぎをした先生はどこへやら…?いまだにそれは謎のままです。

そんなわけで、担任の先生が事前にわかることはないのが公立学校の特徴。ですから、担任の先生次第で学校を選ぶということもできません。

ムムム・・・ではどうしましょうか?

選ぶポイント

そうはいっても、担任の先生がキーワードになっていることは間違いない、というのが私の考えです。ですから、保護者の方に相談された場合に説明するのは以下のこと。

「担任と話しやすい環境があるか」

これは当たり前なようですが、実は大事なポイントがあります。ひとつは「送迎は誰がする?」という点。学校によっては送迎バスがある学校、保護者が送迎する学校に分かれます(これも地域差があると思いますが、こちらの地区はそうです)。
 送迎バスって、とってもありがたい。小学校から高校まで毎日送迎なんて、保護者は大変です。けれど、送迎バスの場合、担任の先生が同乗されないことも多いため、保護者と担任の先生が送迎時に顔を合わせることはありません。
 それに対して、保護者による送迎だと、だいたい担任の先生と保護者は校門で話ができます。これは大きなメリットでもあります。

 もうひとつ「学校に保護者が入る日はあるか」という点。参観日などですね。参観日の回数は学校によって異なります。ですから、参観日で先生と顔を合わせて話ができる機会があるというのはポイントかなと思います。

その他のポイント

私は自分の地域の学校しか知らないので、全国はどういう基準で選ぶのがセオリーなのか、いまいちわからないのではありますが、私はこういう基準で選びます。

もちろん医療的ケア児であれば、そのケアに対応する看護師さんの人員等は重要です。あと私の場合、給食の食事形態が整っているかどうかは重要です。市内で固い刻み食を提供する学校があることは、本当に就学時のネックになっています。それさえ良ければ、迷わずこっちの学校にするのになぁ…(。´・_・`。)と、悩むこともしばしば。

トイレの環境、衛生面、校舎の作り、なども関係しますね。

何れにせよ、見学に行って保護者の方が決定することになる、というのは間違いありません。

学校選びの時期のセラピスト

ここからは私の完全な個人的意見になります。

上述の通り、私は学校選びに口を挟むことはしません。その代わり、守っているルールがあります。

【ルール①】
持っている情報を全て伝える。
当たり前かもしれませんが、保護者の方に各学校の特徴、そしてその学校を選ぶ場合のメリット・デメリット、将来の障害の変化に関する予測、環境変化の予測など、持っている情報全てです。その上で、決定を保護者に委ねます。事前に予測できる将来像と、事前に得られる情報を、得られるだけ得て、最大限悩んで決定していただく、と考えています。

【ルール②】
保護者が自身の選択にを後悔しないサポートをすると、直接保護者に言う。
これだけの情報を全て伝えます。その結果、悩むだけ悩んで決めた結論に対しては、後悔しないよう全力で支えるから、自信持って悩め!そして、決めろ!と言います(笑)カッコつけ?(笑)
でも、自信持って決めて欲しいんですね、保護者の方に。

就学を楽しみに

そんなわけで、冒頭の施設職員さんからの相談に対しても、同様にお返事しました。お母さんが、悩むだけ悩んで、自信持って結論を出してくれるといいなぁと願っています。

そして、このお子さん、お口の発達にまだ難があるんですね。市内の支援学校の給食には非常に問題が多くあります。私はそれを変える活動をしています。(「支援学校給食改革」に関する記事)。このお子さんが入学する前に変えたい。変わればきっともっと楽しく学校にいける。お母さんも不安がひとつなくなるはず。

支援学校給食改革への想いが、また一段と強くなった相談。
私にはまだまだ、やらないといけないことがたくさんあるのです。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。