クマに襲われる

「私、主人をデイサービスへ送り出すたびに
泣きそうになるんです」

利用者さんの奥様のセリフ

デイサービスへ送り出すたびに
向こうで脳梗塞起こしたら・・・
向こうで誤嚥したら・・・
向こうで事故に合ったら・・・
等と考えてしまい
送迎のたびに涙が出るという

「長岡さんもそんな気持ちになることある?」

そう聞かれたので
「同じ気持ちかはわかりませんが・・・」
と前振りして、こんな話をした

わたしが住む街はかなり田舎です
中心部を少し外れると
田んぼや山だらけ

先日、市からの情報メールで
こんなメールがきた

「クマの目撃情報」

ええええええーーーー!!!!??

く、くま?

クマ?

KUMA?

熊…出るの?

そのとき
「こどもが学校でクマに襲われたら
もう会えないなぁ・・・」
などと考え始め
猛烈に心配になり
泣きそうになった、弱い母なのです

その話を利用者さんの奥様にしたところ…

爆笑

えぇー・・・真面目に言ったのになぁ(;^ω^)

奥さん、涙流して笑い出した。
「いや、本気で心配だったんですけど!」
と言ったら
「わかるわかる!我が子ならそんなもんよね」
と、ヒーヒー笑って答える

それ以来
その奥様と私は
利用者さんにトラブルがあるたびに
クマの話をして笑い
何となく笑顔になれるキーワードとして
クマの話題をする

家族だったら
やっぱり些細なことが心配になる

はたから見たら
心配するほどのことじゃなくても
いちいち気にしてしまう

それはおかしなことではなくて
私だって 誰だって
あることだと思います

なにはともあれ
クマに襲われるのは怖いなぁ・・・と
日々怯えながら
今日も訪問に向かうのです

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。