先日の記事(のどぼとけと声の関係⇒☆)で「声の衛生」について簡単に触れました。
ちょうどそのあと、知人がカラオケに行き「喉が痛い・・・”(-“”-)”」という話をしていたため、今日は声を出しすぎたときの、ノドについてのお話です。
カラオケ好きですか?
私はカラオケが大の苦手・・・(-_-;)それこそもう何年(十数年?)も行っていません。
特別音痴でもないとは思いますし、仕事で歌うことも多いです。自分の子どもに子守唄も歌っていましたが、やはり人前で歌うことにも抵抗があります。他にも理由はたくさんあって、声がハスキーボイスで変だし、ちょっと聴覚過敏があるので耳がキンキンするし、歌った後はノドが痛いし・・・、そう、ノドが痛くなるんです。
声はどうやって作られる?
そもそも、カラオケなどで大きな声を出すと、どうしてノドが痛くなるんでしょうか?それは声をだすメカニズムに関係しています。
声がどのように作られているのかについて説明します。
声のモトは息です。肺から息が上がってきて、それがノドの喉頭(こうとう)を通ります。この喉頭には声帯という2枚のヒダがあります。そして息が喉頭を通過する際に、この2枚のヒダが振動することで声のモトを作るのです。声帯は、鈴虫の羽をイメージしてください(厳密には原理が違いますが…)。この振動する回数は、男性は1秒間に100~150回程度、女性は200~300回程度と言われています。声が低い方はもっと数が少ないですし、高い方は多くなります。
そして喉頭で作られたこの声のモトが今度は口や鼻の中を通り、母音・子音が作られて『声』として外に出るわけです。
うーん、長い道のりですね。
でもなんで痛くなるの?
上述の、声を出す一連の流れをご覧になってお気づきでしょうか
声を出すだけで、声帯は1秒間に100回~300回も振動しているんです。
振動と言いましたが・・・つまりは「ぶつかり合っている」んです。更に、カラオケでは高音を出すことも多いため、高音になればなるほど、ぶつかり合う回数は増えます。更に更に、大きな声を出す際に、この声帯がぶつかり合う強さも強まります。
人は、ただ話すだけでしたら、声帯を1秒間に100~300回程度、ぶるぶると振動させるだけでなので、それで痛めることはほぼありません(例外はありますが、今回は割愛)
しかし、下記の条件になるとどうでしょう・・・?
- 高音を出す⇒声帯の振動回数が増える⇒ぶつかり合う回数が増える
- 大声を出す⇒声帯の振動する力が強まる⇒バシバシッとぶつかり合う
もうこれを見ただけで、カラオケでノドを痛めるの、当たり前じゃん⁉と言いたくなりますね(;^ω^)
痛めた後どうすればいい?
この、ノドを痛めた方・痛めやすい方のための対応を「声の衛生」と言います。言語聴覚士にとって、指導を行う領域の一つです。
ちなみに余談ですが、私は発声方法が不適切で、すぐに痛めます。なので、日ごろから声の衛生にはかなり配慮して過ごしています(カラオケに行かない、というのもコレ。決して音痴だからというわけでは・・・決して・・・(;^ω^)笑)
ノドを痛める原因は上記の説明の通り。声帯がバシバシぶつかり合ってしまい、声帯が炎症を起こしているためです。ですから、痛めたノドを落ち着かせるには、その炎症を抑えるしかありません。
炎症を抑える方法は以下の通りです
- 話さない
- 大声を出さない
- 加湿する
結構、シンプル(笑)
2枚の声帯がぶつかり合って炎症が起きているので、その炎症部分を極力刺激をしない為に、声帯がぶつかり合う頻度を最小限にしましょう。話すときも『普通の声』で。大声を出さないようにしてください。
そして『加湿』。加湿するために飲み物を飲んでも、その水分は声帯には届きません。もし届いたら誤嚥していることになるので、別の病気に・・・(;^ω^)。声帯まで水分を届けるには、湯気・蒸気が効果的です。お風呂でしっかり深呼吸しましょう。
あと、わたしがよくやっている方法が、マグカップにお湯を注いで、口元に近づけ、深呼吸を繰り返すというもの。これをすると口や鼻の中の粘膜が潤い、加湿効果が高まります。お風呂に入るのは1日1回ですが、これなら何度もできるので試してみてください♪
ちなみに、カラオケ中にノドが痛くなったとき、お茶を飲んだり、外から首を冷やす人を見かけますが、この方法では声帯には何も影響がないので、あまり意味がありません。
声帯を大切に、綺麗な声を
あまりノドを痛めることが日常化すると、声帯の形が歪んでしまい、痛めやすくなります。それこそ声帯結節や声帯ポリープなどを引き起こすことになります。
見えない部分の炎症なので、軽視しがちですが、声が使えないと非常に不便で、生活の質も低下します。
皆さんも喉の2枚のヒダを大切に、過ごしてみてくださいね♪
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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