先日、慣れないながらもTwitterをしていたら、患者さんの状態変化に対し「発達による変化」か「訓練効果」か、というものを判断することは難しい、というご意見を見かけました。今日はそのお話。
小児リハの専門家?
私は小児発達訓練の専門、という訳ではありません。特別な資格がある訳でもありませんし、特別な技術があるということもありません。ごくありふれた、どこにでもいる言語聴覚士です。
と言うか、私自身があまり専門領域を持っていません。強いて言うなら「暮らしのコーディネート」が専門です。だから「だんらんコーディネーター」な訳です。いわゆる機能訓練に執着がなくて、今持っている機能・能力での暮らしを考える方が性に合っているのです。とは言え症例数は、摂食・嚥下領域が圧倒的に多いです。けれどそれ以外もご依頼はいただきますし、基本的には誰でも大丈夫としています。ただし経験の少ない症例についてはそれを正直にお話しし、その上で同意・納得の上、対応することになります。
その私が行う中で感じている、発達訓練に対する考え方があります。
小児の発達について
私の小児領域の訓練特徴は「見る」です。と言うか、「見る」ばかり。ほぼ触らないです。「観察し、お母さんに解説する」と言うスタイルをとっています。だから現在の遠隔指導・オンライン指導にまで発展させられているんですが、この「見る」ことが最重要と思っています。
多分ほとんどのセラピストから「当たり前」と言われそうな話ですが、私は見ることで何かを探しているんです。
何かって、なんだと思いますか?
それは「邪魔なもの」を探しているんです
邪魔なもの?
私は、自分の手で子どもの発達促すことができるほどのゴッドハンドは持ち合わせていません。ただ、邪魔なものを探す眼は持っています。
子どもの様子を事細かに観察し、次のステップを見出します。その次にできるであろうステップをいち早く踏めるようにするために、「邪魔なものはないか」を探すのです。
例えば、「栄養不良」が原因で発育が不十分であるならば、「栄養不良」が「邪魔」なんです。
これくらいわかりやすければいいんですが、それが例えば「姿勢」「椅子の形」「テーブルの高さ」「食具の種類」「テレビの位置」「お母さんの抱き方」「本人の癖」「何かをする時間帯」「間取り」・・・など色々な細か〜い要素のなかで「これが邪魔物!」と言うものを発見するんです。
その邪魔ものを取り除けば、あとは子どもが自分のペースで発達できると考えているのです。
発達は早くできる?
そういった考えから、発達を早めることはできないと考えています。少なくとも私の力ではできません。
あくまで発達とは、本人のペースであると考えています。ただ、その本人にとって最短のペースから「遅らせない」と言うことが私の訓練への考え方です。
そのお子さんが歩むべき道の上に、邪魔をするものがないか、そのせいで違う道を歩もうとしていないか、それを確認するのが私の仕事です。
結論
小児訓練領域の状態改善について「発達によるものか」「訓練効果によるものか」について、私の結論は以下の通り。
私ができることは、『発達を阻害するものを剥(は)ぎとる』こと。
あくまで、その子にとってベストな発達ルートを辿るために、誤った癖や誤学習を招く要因を剥ぎとる。
だから私の訓練においては、『リハの効果』ではなく、状態の改善は、あくまでその子の本来の『発達そのもの』です。あくまで、それが最適なルートかどうかが重要だと思っています。
正解は見つかりません。けれど、誰もがお子さんの発達が素晴らしいものとなるよう支援していることには変わらないかな、と思います。
【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。
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