【施設訪問】料理活動のアドバイザー

私は施設アドバイザーの契約をいくつかいただいているのですが、今日は利用者さんの活動で「クッキング」があり、その活動計画をアドバイジングしたのでそのお話。

誕生日クッキング♪

通所施設の利用者さんの中には、普通食をモリモリ食べられる人、嚥下能力に配慮した食事を食べる人、経管栄養の人など、食事パターンもまちまちです。

今回とある食欲旺盛な利用者Aさんが誕生日とのことで、お祝いにクッキングをすることに。一緒にするのは、同じレベルの食事能力であるBさんとCさんでした。しかしちょっと不安な点が。それは「食欲の違い」です。

メインのAさんは大食漢。Bさんは普通。Cさんは…偏食なんです。いつも食事時間にはCさんがなかなか食べてくれないことに、スタッフさんは苦戦していました。そんな3人のクッキング。果たしてどうなることだろう…。

メニューは?

通所施設ということもあって、色々と身体に障害もお持ちの方々ですから、作れる料理には制限があります。そこにきて、Aさんの食欲を満たすもの、またCさんの偏食から考えるとスイーツはNGであること、など、色々な条件から最終決定したメニュー。

鶏ちゃんこ鍋!

鍋!?(゚ω゚)

通所の昼食をこちらに切り替えて、鍋を作るということに。あぁ美味しそう。

しかし問題が、シメの麺。どうしよう・・・。

麺って難しい

このAさん、Bさん、Cさん共に、明らかな嚥下障害があるわけではないのですが、この施設の特性上、嚥下障害者が多いため、日頃から麺の提供はありません。でも、この3人なら麺は食べられるよねぇ。鍋のシメって言えば麺!食べたいよね!

けれど、職員さんは、麺が提供されたことがない施設の方なので、「麺食べさせるの怖い〜」とおっしゃいます。確かになぁ。

そこで提案したのが以下のもの。

うどん

やっぱりうどんはいいですよね。讃岐うどんの用意固いコシがあるものではなく、生麺として売っている柔らかいもの。これをしっかり炊いたら大丈夫そう♪

マカロニ

噛みやすい・自力で食べやすい、と言ったところからマカロニを提案。トマト鍋ならそれもありだけど、流石にちゃんこ鍋だと変かなぁ?

リゾーニ

そこで考えたのがリゾーニ。え?何?
これはお米の形をしたパスタのこと。これなら麺でリゾットができるから面白いかも!?

しかしこれもちゃんこ鍋には不向きかな?

メニュー決定

結局は色々言いながらも、鶏ちゃんこ鍋という特性からも「うどん」で決着。そりゃそーか(笑)でも、色々な可能性を考えて、スタッフが不安になることなく食事内容を決定できるのはとても大切なこと。

そのための情報提供ならいくらでもしたいな、と思ったりしています。

クッキング当日

さて、そんなわけでクッキング当日だったのですが、スタッフさんの準備も的確で、なんとも美味しそうな鶏ちゃんこ鍋ができました。

写真撮れなかった〜(・_・;

主役のAさんは3杯もお代わりして、美味しく食べられたようで、本当に笑顔が輝いていました。よかった!

そして何より嬉しい誤算だったのがCさん。いつもは1人前も食べられず、スタッフさんが四苦八苦しているのに、美味しかったのか2杯もお代わりしたとのこと。

あんなに食べないCさんが、お代わりだなんて!!!初めて聞いた!!!

利用者さんとスタッフさんの表情

こうやって、活動を通して利用者さんの違った側面が見られるのは素敵なものです。スタッフさんとしても、いつも食べてくれずに困っている中、美味しそうに食べている3人の姿を見ると、また明日から違った目線で関われる部分も出てくると思うのです。

本当はこの施設は、私のアドバイスなんてなくてもきちんと食支援ができているんです。けれどそこにそっと私を置いてくれる、必要としてくれる、聞いてくれる。こんなありがたいことはないと思っています。

皆さんの食事が、私のアドバイスをエッセンスとして取り入れることで、より豊になるなら、こんな仕事って素晴らしいものだな、なんて思っています。

食支援は一人でできるものではありません。いろんな人が知恵を出し合って初めてできるもの。だからその中の一人に慣れることが、私の喜びでもあります。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。