【びぃどろ講座】虫歯人口、増えたか減ったか?

虫歯って、誰でも知っている「病気」。ほとんどの人がかかったことのある「病気」。でも虫歯ってここ数十年、大きく変化しているのをご存知ですか?

虫歯人口、増えた?減った?

これを読んでいる多くのかたが、これまでの人生で1度は虫歯にかかったことがあるはず。けれど、この30年で虫歯を取り巻く環境が、大きく変わっています。

増えているか?減っているか?

大きく減っているんです。

虫歯って何?

そもそも虫歯ってなんでしょう?虫歯は、お口の中にあるミュータンス菌という細菌が歯を溶かすことでおきます。初めは歯の表面のエナメル質がミュータンス菌に侵されることで始まり

この、ミュータンス菌が糖と結びつき、グルカンという物質と乳酸を作ります。このグルカンが歯に歯垢を付着させ、ミュータンス菌やそのほかの細菌の温床を作るのです。怖い!そして、乳酸が歯の外側のエナメル質を溶かします。溶かし始めると、歯の表面が乳白色や薄茶色になります。これがどんどん進行して、エナメル質を溶かし切ってしまうと、内側の象牙質をも溶かし始めます。

ここまでくると、虫歯になった部分は黒くなります。いかにも虫歯。冷たいものやがしみてきたり、痛みを感じるようになるのです。

もっと進行すると、最後にはエナメル質や象牙質はボロボロになり、歯に黒い穴が開き、虫歯菌は歯髄にまで達して歯随炎を引き起こします。怖い怖い!このまま放置すると、菌が歯根まで侵し、放っておくと歯が全部なくなってしまいます。なんとも恐ろしい病気ですね。

なんで虫歯人口減ったの?

とは言え、虫歯人口が減ったって、どういうことでしょう?

例えば、12歳子供の平均的な虫歯の本数を見てみましょう。これ実は、平成元年の頃は平均4.3本もありました。それに対して、平成28年ではなんと0.84本にまで減少しています。この30年で虫歯罹患率が大幅に減少していることがみてとれます。

この理由ははっきりとは分かりませんが、情報によるものが大きいのかな?と思います。最近のママは、虫歯というものに対して敏感です。マタニティ学級でも、妊娠中に虫歯の治療を勧められたり、産後学級や育児学級でも、虫歯に対しての意識づけの機会が増えました。

そう言えば私も妊娠中に虫歯の治療を済ませ他記憶があります。私が出産した産院では3ヶ月同窓会があり、そこで市内の小児歯科の先生の授業を受けることができました。

その授業では、「同じ箸・スプーンは絶対に使わない」という話を繰り返しされた記憶があります。

また、私が定期メンテナンスに通っている歯科には、歯に関する情報ファイルが、処置台の脇に置いてあって、自由に読むことができるのですが、そこにも子供の歯を大切にする情報が多くファイリングしてありました。

最近は虫歯は「治すもの」ではなく「予防するもの」になりつつあるんですね。

育児教室の意味

もちろん、虫歯の減少は、ママの意識だけではなく、フッ素などの普及も大きいと思うのですが、いずれにしても「意識」の変化は大きいなと思います。

虫歯は他の病気と異なり、「予防できる」病気といえます。ですから、正しい知識を得て、正しく生活し、メンテナンスすることができれば、自分の歯で最期まで食べることができるようになります。

まずは私を含め、母親が子供へ。大切なものを守る知識を、きちんとバトンタッチしていきたいですね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。