【びぃどろ講座】乳歯は抜けるから虫歯になってもいいよね?

赤ちゃんの歯は何本?生えるタイミングってあるの?今日は乳歯の話。

歯と骨って同じもの?

歯って何でできているんでしょう?骨の仲間?って思いませんか?

歯は骨に似ていますが、骨とは異なります。どちらも多くのカルシウムからできており、共に硬いので似てはいますが全く別物なのです。例えば、骨は折れても自然に治っていきますが、歯は折れたら再生しませんね。骨には有機質が多く含まれており、血液を作る機能やカルシウムを貯蔵する機能なども備わっています。また骨自体には神経はなく、骨折をした時の痛みは、骨の表面の骨膜の破壊によって生じます。

これに対して歯は無機質でできています。エナメル質で覆われているので、非常に硬いです。しかし歯髄といって、中に神経が走っているため、痛みなどは直接のうに届きます。歯の表面は脱灰と再石灰化を繰り返していますが、歯そのものは代謝していないので、折れたり虫歯になっても修復することができないのですね。

歯はいつ作られる?

「歯」の中でも今日は乳歯についてです。乳歯はお母さんが妊娠に気づくころの極初期から作られ始めます。実はこれは永久歯も同じで、どちらも妊娠中のお腹の中の胎児の頃にすでに歯の素が作られ始めるんです。そのため、妊娠中のお母さんの栄養状態ってとっても大事、ということが言えますね。

そうはいっても妊娠10週目ごろまでには、乳歯の20本の芽ができていきます。10週ということは、妊娠に気がついた頃にはできているので、なかなかそれから改善!っていうのは難しいですね。

こうして歯の芽ができたあと、徐々に硬くなっていきます。本格的に表面が硬くなるのは妊娠4~6カ月頃からスタートして、生後1カ月から1年の間に完成します。

こんなに早くから歯って作られるんですね。

乳歯の生える時期

はじめに生後8ヶ月頃に真ん中の歯が生えます。次に隣の2番目の歯が1歳前後に生えます。1歳4ヶ月頃に4番目の歯が生えたあと3番目の歯が生えます。上下左右4本ずつ生えたあと、少し時間をあけて2歳4ヶ月頃に奥歯である5番目の歯が生えます。

しかしこの生える順番も性別による違いも多いですし、個人差が大きいという特徴があります。全く生えずに不安な場合、1歳半健診に、歯科健診もありますので歯茎の状態を見てもらいつつ、歯の根っこができる準備が整っているか見てもらうのもいいですね。

乳歯は抜けるから虫歯になってもいい?

たまに、「乳歯はどうせ抜けるから、虫歯になっても大丈夫」と言われる方がいますが、それは大間違い。

乳歯は上述のタイミングで生えるのですが、実はそのあとに「吸収」という時期があります。
これは永久歯が作られる際に、乳歯の根っこを溶かして吸収し、永久歯の生える道を作るのです。乳歯が虫歯でもろくなっていると、道が綺麗にできず歯並びに影響したり、歯自体の栄養が足りずに弱い歯が出てきてしまいます。

歯の素は、お母さんのお腹の中にいる時から作られており、お母さんの栄養状態が重要であることはもちろんですが、生まれてから本人の口の中に虫歯菌が入り込んでしまうと、歯の育ちにも影響するのです。虫歯菌自体もほとんどが両親から入るものですから、それを減らすことも重要です。

虫歯は予防できる病気です。たかが虫歯、されど虫歯。虫歯にならないのがやっぱり一番です。

そう考えると、お母さんもお子さんも、みんながみんな歯を大切にするという意識が大切ですね。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。