【びぃどろ講座】スプーンでお茶は飲ませにくい!

食事介助が必要な方の中には、コップで飲ませることが難しく、1口ずつスプーンで介助しなければならない方もいらっしゃいます。でもスプーンで飲ませるのって、難しいですよね?今日は水分の飲ませ方についてのお話。

水分の飲み方あれこれ

水分を飲む方法はいろいろあります。一般的にはコップで直接飲む方法、ストローで飲む方法、スプーンで飲む方法などがあります。お子さんならそこに、哺乳瓶やマグマグが加わります。高齢者の場合楽のみで飲む方法もありますね。

今日はそのうちスプーンでの飲み方を説明します。

スプーンはこぼれる

スプーンで飲ませる必要がある時点で、嚥下障害などにより一度に多量の水分を口に入れるとリスクがある方であることが予想されます。1口量を増やすとむせるなどの問題がある方ですね。
スプーンは以前にも記事にしましたが、素材、大きさのバリエーションは多いです。1口量に配慮するためには小さいスプーンが良いですが、小さいスプーンの場合、こぼれやすく非常に飲ませにくいことが悩みですね。

また、とろみの強さによっても飲ませやすさは変わります。とろみが薄いと、スプーンでの介助はますます難しくなります。

どんなスプーンがおすすめ?

嚥下自体に問題が大きく、十分な配慮をしなければ、すぐにむせてしまうような方の場合、とろみを十分につけ、ティースプーンなどで1口ずつ介助することが望ましいでしょう。この場合の補水は、「drink(飲む)」より「eat(食べる)」に近くなります。ですから、食事介助で使用しているスプーンの大きさで介助をする方がいいでしょう。

むせる心配は少なく、ただコップやストローが困難な方(特にお子さん)の場合、1口量がやや増えても問題なかったり、とろみの濃度も薄めで経過できる方の場合、もう少し大き目のスプーンを使うことができます。

そんな方におすすめなのが「チャーハン用スプーン」「レンゲ」です

コップでは介助者が見にくくてうまく飲ませられない、スプーンでは少量過ぎて飲ませられない、などのジレンマ解消に一役買ってくれると言えます。ただし、スプーンが大きくなると、当然ながら1口量が増えるため、むせる可能性も高まります。本人の能力にあわせた量の調整は、必ず行なってください。

1口量のポイント

1口量のポイントですが、絶対的な指標はないのですが、私が考えている指標があります。小さじ1杯です。

一般的に100ccの水を私たち健常成人が飲もうと思うと、6〜8回程度で飲み干せす。つまり1回のゴックンにつき15cc程度の量を飲んでいると言うことですね。これは大さじ1杯。
ですがあえてとてもゆっくり慎重に飲むと、10回〜12回ゴックンが起きます。すると1回で単純計算10cc程度を嚥下している考えられます。これはあくまで健常成人の場合ですので、念の為その半量程度からスタートで5cc。小さじ1杯程度ですね。それを基準に本人の能力に合わせて増減させています。

もちろん一概にその量が適切とは言えません。ですが、多い量を口に入れてしまうとリスクは高まりますし、少なすぎるの飲みにくいのも事実です。万が一誤嚥した際に喀出できる量などを考えて、この量をベースに介助をしてみてください。

まだまだ暑い日が続いています。水分を効率よく摂取することは必要ですが、スプーンだと非常飲ませにくい。そんな時の参考にしてみてください。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。