【びぃどろ講座】吃音って?

吃音ってご存じでしょうか?オンライン相談室を始めてから、しばしば吃音についての相談が私の元にもあります。今日は「吃音」についてのお話です。

吃音ってなに?

「吃音」って、読めますか?これは「きつおん」と読みます。この「吃」は「どもる」という意味として使われます。「どもる」と言われると、なんとなくイメージが湧く方が多いでしょうか?

吃音は、話し言葉が滑らかに出ない発話障害のひとつです。単に「滑らかに話せない」と言ってもいろいろな症状がありますが、吃音には以下の3つの特徴があります。

①音のくりかえし(連発)、例:「か、か、からす」
②音の引き伸ばし(伸発)、例:「かーーらす」
③ことばのつまり(難発、ブロック)、例:「・・・・からす」

このような発話の流暢性(滑らかさ・リズミカルな流れ)を乱す話し方を吃音と定義しています。

吃音の多くは発達性の吃音です。その多くが2~5歳に発症し、男児が女児に比べて2~4倍と多い傾向があります。要因は様々ですが、体質的な部分や発達要因などが影響しています。

吃音って治るの?

幼児期から、この吃音を発症した人の過半数は、学童期あるいは成人するまでに症状が消失したり軽くなりますが、成人後も持続する場合があります。思春期から症状が目立ち始める人は少ないですが、器質的な原因の場合もあるので、その場合は医療機関での検査が必要となります。

吃音はまだ原因が解明されておらず、明確な治療方法も確立されていません。すべて対症療法となります。その方の年齢や段階に合わせてそれぞれに合った訓練や指導が行われます。

吃音児への対応

吃音の症状が出ても「落ち着いて」と言わなくてよいことは、意外と知られていません。
精神的には落ち着いており、言葉が出ないだけなので、かえって苛立たせたり落ち込ませたりさせてしまうことがあるので注意してもらうことが必要です。

相談時期

吃音に気がついたら、保護者はいつのタイミングで専門家の元へ相談に行ったら良いのでしょうか?実際吃音の多くが幼少期に発症するものの、そのうち74%が自然回復すると言われています。と言うことは、そのままで良いのではないか?とも思いますよね。けれど、上述のように「落ち着いて」などのやや不適切な声かけを続けることになり、お子さんによっては別の症状が引き起こされたりすることがあります。また26%は自然回復が見込めないことからも、そのお子さんが一体自然回復する子なのかしない子なのかの判断ができないため、吃音の症状を悪化させないためにも、気になりはじめた段階で専門家へ相談に行かれることが良いでしょう。

どんな声かけ?

まず大切なのが「ゆっくり話して」「落ち着いて」「深呼吸して」などの話し方のアドバイスをしないと言うこと。特に小さいお子さんの場合は、自分の「話したい」と言う気持ちのまま話そうとするため、実際に息苦しくて話せないわけではない、と言うこと。アドバイスと言うものは時として“否定”とも受け取ってしまうものです。また、うまく言えないお子さんの言葉を先取ることも、話す意欲を落としてしまうため控えましょう。

ゆったりとした気持ちで

吃音のトレーニングとして有名な方法に「リッカムプログラム」と言うものがあります。そこには、1日1回ほんの少しの時間でいいので、安心してゆったりと話せる時間を作りましょう。吃音のあるおこさんが安心して話せる時間を作ることは、効果がある、とされています。具体的な方法については、こちらには言及しませんが、ご両親と一緒に過ごす時間はとても大切と言うことが

吃音の展開

吃音の多くは発症後数年で自然回復していくものですが、中には治癒はせず、その症状と付き合わなければならなくなります。成長過程の中で、学校、進学、就職、仕事、どの場面でも「話す」と言うことを避けては通れないため、様々な障壁を生み出します。どの場面でも学校では音読や発表がありますし、就職試験では面接、仕事をしても人前で話したり電話対応が必要になったり。

こう言った、「話す」ことに対しての障壁を抱える場合、精神的に大きなストレスを慢性的に抱くことになるため、適切な対応というものが求められます。

吃音を抱える本人だけではなく、周囲にも吃音に関する正しい考え方や知識、対応を身につけていくことが非常に重要とされます。その生活ステージそれぞれに、現在抱えている症状や対応について、相談していきましょう。

一人で抱えない

専門的なアプローチが必要となるこの吃音。まだ対応できる専門家が全国に少ないのも事実です。私自身のところにもたくさんの相談が寄せられます。幸いオンラインでの対応ができるので、それこそ全国から相談が寄せられます。

私の場合は有料となりますが、無料のお試し相談室も不定期に開催しているので、そちらにお見えになっていただいても構いません(詳しくはこちら→

何れにしても、まずはお近くの専門家の先生を探してみてください。家族や本人だけで抱えずに相談できるようになって欲しいなと思います。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。