【びぃどろ日記】言語聴覚士になったときのこと

たまにはすっごい普通の記事を書いてみよう。

わたしは言語聴覚士になって丸14年。なんで言語聴覚士になったのかを振り返ってみました。

初めての夢

私は幼少のころから絵を描くことが好きで、将来はイラストレーターなどの絵を描く仕事を目指していました。それこそ幼稚園の頃から高校2年生までは、恥ずかしながら美大を目指していました。しかしまぁ、絵のような才能の世界で生きていくことは難しいな、と思ったのも事実で、結局は現実的な夢を探すことになったわけです。

手話との出逢い

わたしは趣味がいくつかあるのですが、とにかく凝る方で一度やりだすとずっとやっている・・・そういう性格です。そこで、絵とは別に、もう一つハマった趣味がありました。「手話」です。小学校4年生のときに、偶然テレビで手話の教育番組があり、「へぇ~こんなものがあるんだ~」と思ったのです。

さらに後日、両親と本屋さんへ出かけた際に、その手話番組のテキストが陳列されているのを見つけました。なんとなく興味が湧いてお願いし、買ってもらった・・・これが手話との出会いです。

そんなこんなで、手話に没頭して過ごし、日常会話はそこそこできるまでになりました。

言語聴覚士になろう

高校三年生の進路に悩むころ、絵で生活することは現実的じゃないなぁと思いつつ、“資格の本”を手に取るとそこに『言語聴覚士』の文字が。まだ国家資格化されて1~2年。知名度はない資格でしたが、手話をしていた私は、『聴覚』の言葉に惹かれ言語聴覚士になることをきめたのです。

と、言いながらも勉強してみると、聴覚領域での就職はなかなか無く、結局、今では聴覚に関する仕事はほとんどしていませんが(;^ω^)けれど手話はいまでも好きですし、日常会話はなんとなくできます。

STになってからも、絵の世界に戻りたいと思ったこともありますが、結局は才能が無いので続きませんでした。STとして大きな目標や大志があったわけでもなく、淡々と過ごしていました。

ある患者さんとの出逢い

まだ病院に勤務していたある日、外来リハの依頼がありました。中学生の男の子でした。心臓の手術の後遺症で声がかすれているとのことで、外来訓練でフォローすることになりました。しかし、中学生男児。訓練よりも部活をしたいお年頃。むしろ訓練なんて面倒くさい、部活仲間に言うことも恥ずかしい、という雰囲気が強く、当時私もどう接していいかわからずに訓練をしていました。

結果長続きせず・・・。今思えば本当に申し訳ないことをしたなと感じていますが、その時強く感じたのは、「この子に家庭教師として訓練できていたら、もう少し良くなったんだろうな…」という想いでした。

訪問リハとの出逢い

そして「家庭教師のようなSTになりたい」という思いが芽生え始めたころ、STが訪問看護ステーションで介護報酬が請求できるようになり、STの求人募集が出始めるようになりました。そして、すぐさま転職。以後訪問看護ステーションに12年勤務しました。

訪問リハ(※注)に出逢い、こんなにも楽しい世界があるのかと衝撃を受ける日々。病院ではできなかった、わたしなりのリハビリテーションを表現できる世界と感じたのです。

病院は非日常
家庭は日常

この当たり前の感覚を思い出すようになり、そして、家庭や生活のなかでの暮らし方・過ごし方を提案できる。こんな楽しい仕事は他にあるでしょうか⁉と思ったほど。

※注:正式には訪問看護ステーションからのリハですが、ここでは敢えて「訪問リハ」という単語を使用します

そして『びぃどろ』へ

しかしながら貪欲に暮らし方を追求するあまり、訪問看護ステーションの中では制度的な縛りも多く、物足りなくなり、それが限界に達した1年前。独立を決意し、『びぃどろ』をつくる決意をしたのです。(過去記事)

びぃどろとして正式に走り始めて4か月。まだまだひよっこですが、いろんな方が優しく応援してくださいます。ありがたいことに、びぃどろとして仕事をするうえで否定的なご意見をいただいたことって、一度もないのです。

そうはいっても、きっとこれから先、壁にぶち当たったり、谷に落っこちたりいろいろ困難もあると思いますが、ひとつひとつコツコツと。そんな想いで続けていきたいと思います。

今日も どこかのだれかの心の中のビードロに
息吹を吹き込みにまいります

ぽっぺん♪

素敵な音が鳴りますように

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。