【びぃどろ講座】はぐくみ編~数字の学習~

数の学習方法教えて

先日、児童発達相談支援専門員の知人から相談がありました。
「数字の学習をしている子がいるんだけど、これで良いですか?」
発達に不安を抱えるお子さんの多くは、「ことばが遅い」という悩みも抱えています。その“ことば”というものの中に“数字”も含まれています。

というわけで、今日は『数字の学習について』

数字を理解するってどういうこと?

まずはコミュニケーションから

数字を理解する

ひと言で言っても、大変複雑です。
まず、人は会話(コミュニケーション)を通してことばを学習し獲得します。その会話の中に“数字”が含まれており、そこから数字を学習するわけです。

「いち・に・さん・・・」の音

コミュニケーションを通して、たくさんのことばを聞き、まずは耳で「いち・に・さん・・・」という音を覚えます。そして、そのことばの羅列を覚えます。この時点では、いわゆる“数の理解”はなく、“音のつながり”をことばとして覚えていることになります。

「に」と「2」のマッチング

そして、生活の中で文字としての“数字”に触れ始めます。するとカレンダーや時計、エレベーターのボタンなどに書かれた「2」という数字を見て、「に」と言い始めます。音と記号のマッチングができるようになるんです。つまり、目の前にある「2」の形(記号)に「に」という名前がある、ということを知るのです。

そして、徐々に読める数字が増えていきます。よくお風呂などで「10まで数えたら出るよ~」などと伝えて数えさせたりしますが、1~10までは身近なので、覚えも早いです。

しかし数字を10まで読めるようになっても、これは「数を学習できている」ことにはなりません。

数字が読めてもわかってない⁉

たとえば、1~10までの数字を読める子の前に、おはじきを10個並べて、指差して数えるように伝えます。
これが難しいのです。

つまり「に」という音と、「2」という記号はわかるけど、実際に「2」が一体何を指しているのかの理解が難しいのです。

数字って抽象的?

なぜかと言うと、数って具体的なもののようですが、抽象的な要素があるからです。

たとえばリンゴが1個あったとします。では、そのリンゴの数を・・・と言われたたら「1(個)」と答えますね。しかし、「重さ」「直径」も数字で表せます。そうなると数字は変わります。また、リンゴも半分に切ってあったら「1個?」「1/2個?」と悩みます。
条件によって数字は変わってしまうのです。

数字の概念学習

そのように、数字が使われる状況や条件を繰り返し見聞きし、経験を重ねる中で、「何個?」と聞かれたら、こう数えたらいいんだということを学習します。つまり『数の概念』を学習するのです。(※概念の学習については、過去記事参照⇒)

数字の概念学習の方法

この『数の概念』を促してあげるにはどうすればいいでしょうか?日常生活で取り入れられることをいくつかピックアップしてみましょう。

指をさして数えよう

一番簡単なのは、『指差し数唱』です。指をさしながら数えること。たとえば夕食の配膳のときに、家族の人数分のコップをだして「全部で何人?」と聞きます。「パパと~ママと~ねぇねと~ぼく」などと指差しや指折りで数えます。それからコップを並べて、コップの数の確認をする。これも数字と概念のマッチングです。

手拍子して数えよう

あとは数を数えながら手拍子もいいですね。初めはお子さんと一緒に「いち、に、さん・・・」と言いながら手拍子をします。今度はママだけが「いち、に、さん・・・」と手拍子するのを見せて、真似させます。それができたら、ママは声だけ「いち、に、さん・・・」と伝えて手拍子を促す。親子で手拍子しあえば、スキンシップにもなります。

たくさんのことばに触れる

数字に限らず、ことばなどの概念を学習するためには、それだけを練習してもあまり効果はありません。一見数字とは関係のないことでも、さまざまな経験を通して総合的に学習するのです。そして、気が付けば「あれ、数字分かってるね」「あれ、こんなことも理解してる?」などと、全体が網目の要に繋がりながら、絡まりあいながら発達していくものなのです。

【長岡菜都子(だんらんコーディネーター)】
リハビリテーション専門職である言語聴覚士の国家資格を所有。病院勤務を経て、訪問看護ステーションに入職。以後12年間で、訪問リハビリテーションを学ぶ。対象は乳幼児から高齢者まで幅広く、病気や障害を抱えながらも、にいかにして家族とともに充実した温かい生活を送れるかにこだわり、支援している。
現在は病気や障害を抱える当事者に対し、『個別』ではなく、家庭や関係施設へ『戸別』に訪問し、主に「はなすこと」「たべること」に関する、赤ちゃんの育み支援、こどもの学び支援、成人・高齢者の生活支援を行っている。
その他、医療・福祉・介護・教育施設等への外部講師等も行い、「はなすこと」「たべること」のバリアフリーを目指し活動中。